VSTフィルターバスケットが一時期、猛烈に流行った。精度の良さとお湯の抜けの良さが最大のウリで、精度が良いから均一に抽出可能で、お湯のヌケが良いからグラインドメッシュを細かくでき、結果的によりたくさんのコーヒー豆をバスケットに詰められるので味が良くなる、というフレコミのアレだ。
標準のバスケットに不満はなかったのだけど、ものは試しと思って、その大流行りしたときに買ってみた。
ところが!
抜けがよすぎてメッシュをそれなりに細くしても抽出が早く、味の厚みが犠牲に……。さらに頭を悩ませたのは、バスケットのフチに沿ってお湯の通り道ができて抽出不足になる、いわゆるチャネルが発生しまくったこと。抽出を開始すると、どこか1ヵ所からプシャーって薄いエスプレッソが出てきちゃう。
これは15gのバスケットだったからかもしれないし、グラインダーがコニカルではなくてフラットだったから、かもしれない。
前者で言うと、購入した15g版は高さが低い。言い替えると厚さが薄い。だから自然とバスケットのなかのコーヒーパックも薄くなり、チャネルが発生しやすくなるのではないか、と。後者は、粒度が揃っているがゆえに、ちょっとしたきっかけでお湯が集中するポイントが発生し、それがチャネリングにつながったのではないか、ということ。あくまで推測だけれど。
チャネルと抽出の早さに対策するために粉の量を増やすも、標準のバスケットに比べて味の面で大きな優位性があるとは思えず、逆にコーヒー豆の消費量が増してしまうし、オペレーション面でもカスがとれにくいということもあって、その日のうちに封印してしまった。けっこう高かったのになあ。
もう少しサイズが大きいバスケットか、使用グラインダーがコニカルだったら、もう少し印象が変わったのかもしれない。
かたや、なぜかVSTほど知名度はないものの、バスケットの形状がVSTよりも絞り込まれているIMSというのもあり、こちらも、ものは試しと買ってみた。我ながらもの好きだなぁ。
このIMSフィルターバスケット、VSTの件もあってちょっと不安だったけれど、チャネルも発生せず、地味にVSTの弱点だと思っている「カスのとれにくさ」がまったくなく、じつに使い心地が良かった。精度が良いから抽出も良い感じだし、抽出後のフィルターバスケットのフチの汚れ方が全然違って、標準に比べるとすごくきれい。
味? そりゃまあメッシュも違えばコーヒーの量も少し増えているので、味は変わった。標準バスケットよりも美味しくなったかというとよくわからないけれど、これはこれで美味しいから良し。なにしろ見た目と使い勝手が良いという時点でとても気に入っていて、今はもうすっかりIMS愛好家だ。
ちなみにIMSはフィルターバスケットの厚み(高さ)でサイズ展開されていて、ぼくが使っているのは24.5mm。これに約19gほどのコーヒーを詰めて使っている。
そうそう、IMSはほかにもシャワープレートなんかも展開していて、密かに一緒に買ったりもしたけれど思いのほか調子が悪く、すぐに標準に戻してしまった。この手のアイテムは眉に唾をつけてから試すべきかもね。
じつはESPRESSO PARTSのフィルターバスケットも買ったことがあって、あれはあれで悪くなかったけれど、今のところいちばん好みなのはIMS。もっと知名度上がっていいアイテムなんだけどなぁ。
・VST Precision Filter Basketsstore.vstapps.com
・Filters and showers | IMS - INDUSTRIA MATERIALI STAMPATI Spa