コーヒー豆は新鮮なものほど良いにきまっている、という信念のもと、ぼくはサンプルロースターで毎週末焙煎をしていた。鮮度という尺度でみたらベストだと思っている。ただ、同じ豆を一定量焼くだけなら別にいいのだけど、アフターミックスによるブレンドを視野に入れると、それぞれの豆を適量焼かなければならない。
で、例えばブレンドの比率に応じて、ある豆は多めに、ある豆は少なめに焼く必要がある場合、悩ましいのが、それぞれどのくらい焼くか。
ちなみに、250g版サンプルロースター&カセットコンロの焙煎だと、経験上、1回あたりの生豆投入量が200g未満だと火力調整がシビアになり、焙煎そのものが安定しにくくなる。これは少量焙煎の宿命ともいえるところ。許容できる安定度を維持できるギリギリの投入量が150gほどで、投入量100g程度だと本当に安定しない。ほんの僅かな火力の違いで仕上がりがガラっと変わっちゃう。
話を戻すと、必要量が少ない豆を基準に焙煎量を決めると、必要量が多い豆をより多く焙煎しなければならず、トータルの量が増えて1週間では消費が追いつかなくなってしまう。かといって、量を少なくすると前途のように焙煎が安定しないので本末転倒になる……という。
そこで、1回あたりの焙煎量を確保して、いっそのこと2週間ごとの焙煎に切り替えてはどうか、と。ある週末はブレンド用の豆を焙煎して、翌週はブレンドに関係ない豆を少量焼く、でまた次の週末はブレンド用の豆を焼く、というルーティーンにしてみようと。
この場合、2週間後の豆の品質が耐えられるのか? が大きなテーマになる。
というわけで、さっそく実践してみた。
まず保管方法だけれど、焙煎してすぐに半分の量にわけ、片方はいつもどおりのダイソーのステンレスキャニスターへ投入。これは翌日以降分。残り半分はアルミ袋に入れて1週間後から使用、という方法をとった。そして、いずれも今までどおりのワインセラー保管。
↑煎りあがった豆を半分にわけて、半分は今までどおりにキャニスターのまま、もう半分を袋に入れて保管。
焙煎から8日目、アルミ袋で保管していた豆でエスプレッソを落としてみると、キャニスター保管していた7日目の豆よりもエスプレッソに粘度があり、ラテの味や風味の劣化も気にならないどころか、むしろ7日目の豆よりも良い感じで驚く。
翌日、翌々日、さらにその次の日、と焙煎から10日以上経過しても、そこまでひどい劣化は見られない。これはもう、アルミ袋の勝利というべきか。キャニスターで同じことをやると、さすがに隠せないくらいに劣化を感じてしまうのに。
キャニスターは、豆の量が減ってくると相対的に空気の量が増える。袋の場合は余計な空気を追い出して保管できるので、キャニスターよりも空気に触れる量が少なくなり、この鮮度の持ちに大きく貢献しているのかもしれない。
結論をいえば、サンプルロースターで焼いた豆でも、きちんと保管していれば焙煎から2週間ほど経っても粘度のあるエスプレッソになり、十分美味しい、ということがわかった。
これで心置きなく隔週焙煎に切り替えられるぞっと。
↑アルミ袋。正式名称は「底透明チャック付スタンド袋」で、コーヒー豆がだいたい150g入るサイズを使用中。
↑焙煎からちょうど2週間、14日目の豆(自前のブレンド)によるエスプレッソ。IMSのバスケットに19.5gほどドージングして抽出。粘度もあり、14日目にしてはかなりまともな状態を維持できていると思う。