ゴールデンウィークの前半、はじめての湯布院へ一泊二日の旅行に行ってきた。
関東近県の温泉地はあちこち行ってきたけれど、福岡へきて3年目ということもあって、なにげに九州の温泉へ行くのははじめて。
というわけで、とても新鮮な気分で満喫してきた湯布院旅行の模様を、飲食中心に(笑)お届け。
福岡から高速バスで2時間強、ぼくたちが湯布院についたのはちょうどお昼頃。駅から目抜き通りに沿って、たくさんのお店が軒を連ねている。こういう雰囲気いいね〜。
さて、どうしようかと考えつつも、目に入ったおみやげ屋に入っては、いきなりおみやげを物色するぼくたち。到着30分でアクセサリーと地酒をゲット(笑)。
さすがにおなかが空いてきたので、駅前に戻ってタクシーで最初の目的地、イタリアンのお店「檪の丘」へ。
「檪の丘」まではタクシーで10分弱。わりとアッという間で料金は千円強。
「このお店は美味しいから、お昼時は混んでいるんですよー」と運転手さん。たしかに国道からお店へと続く坂道には、たくさんのクルマが……。とはいえ引き返すわけにはいかず、名前を書いて待つこと30分強、ようやく名前が呼ばれた。
激混みだったので諦めていたけれど、運良くテラス席へ!この「檪の丘」、 お店が高台にあるので、テラスからの眺望が素晴らしいのだ。
イタリアンに来ると必ず注文するピッツァの「マルゲリータ」に加え、奥様は「季節野菜のトマトソースパスタ」、さらにお店オススメの「スペアリブ」を注文。
ピッツァは生地が少しモッチリしていてチーズが濃厚で美味。生地が焦げていないところもいい。石窯のピッツァって、黒焦げの生地を平気で出してくる店もあるからね。いろいろなお店でマルゲリータは食べたけれど、かなり美味しいマルゲリータでした。
パスタも麺がアルデンテで絶妙なゆで加減。野菜も地のものなのかな、甘みたっぷりで これまた美味しい。失礼ながら、そこまで期待していなかったスペアリブも、香ばしくて塩加減が絶妙でペロっと食べてしまった。
最初のお店から“アタリ”で上機嫌になったぼくたちは、再びタクシーでゆふいん駅前へ戻り、お店巡りを再開。
駅前の目抜き通りから湯布院を代表する観光スポット、金鱗湖へと続く湯の坪街道は、それはもう絶好のお土産天国。
お世辞にも広いとはいえない道沿いに、アジアン雑貨、和雑貨、スイーツ、はちみつ、カフェ、コロッケ等のB級グルメ……などなど、もうこれでもかとお店が並び、多くの観光客が行き交っている。なんとなく軽井沢の旧軽銀座にも似ているけれど、お店の数や観光客の数は湯布院が圧倒している気がする。
街道沿いをぷらぷら歩いていると、コロッケ屋を発見したのでさっそく買ってみる。じつは奥様、昔、湯布院に来たことがあって、そのときに食べたコロッケが美味しかったと聞いていたので、食べてみようと。
とにかくジャガイモが甘くて、ソースなんかかけなくても十分美味しい。至高のB級グルメって感じ。
ランチで思いのほか時間を使ってしまったこともあり、コロッケを食べた時点で夕方4時近く。さっさとホテルにチェックインしちゃおう、ということでホテルへ向かうことに。
ゴールデンウィークで、この日空いている宿泊施設がここしかなかった、ということもあって、今回利用したホテルは素泊まり専用の宿「ゆふいん金鱗湖ホテル」。
ちなみに湯布院は“大人の温泉郷”と言われているように、子供の宿泊お断りの宿が多い。和風の旅館はだいたいそうで、予算の都合もあって宿選びがけっこう難航した。まぁ、のんびり過ごしたいときに子供に騒がれたら嫌だもんね。これはわかる気がする。
この宿、ネットの情報によると元々はカシオの保養施設だった模様。だからレストランがないのね。
あんまり写真を撮っていないけれど、 施設は思ったよりキレイで広さもあり、今回は和室を選んだけれど、おばあちゃんの家に帰ったような、どことなく懐かしさもあって、居心地はとても良かった。
大浴場も気持ちよく(露天もある)、総合的に見て奥様もお気に入り。
気になるところといえば、フロントの営業が朝の9時からということと、ホテル提携(?)の朝食会場(9時オープン)が歩いて5分くらいかかるところくらいかな。とりあえず朝起きてすぐ朝食を食べたい、という人には向かないかも。
チェックインを済ませたぼくたちは、再び湯布院の散策へと出発。
目に入るお店に入ったり、レトロ館的なスポットで写真を撮ったりしながら、向かったのが「フローラルビレッジ」というメルヘンチックなスポット。
オフィシャルサイトによると「映画『ハリー・ポッター』の撮影地にも採用された「イギリス」のコッツウォルズ地方の街並みを再現した新しいアミューズメント施設です」とのことらしい。
どうして湯布院にイギリスのコッツウォルズ? というのは愚問かな。個人的にこういうところ好き。
湯布院って、なぜかフクロウ推しのようで、その流れで「フローラルビレッジ」にも「フクロウの森」というスポットがあり、ちょっと悩んだ結果、入ることに(有料)。
名前からして想像できるように、フクロウがメインの動物園的なスポット。いたるところに本物のフクロウがいて、触ることができる。
触る、写真を撮る、またべつの子を触る、写真を撮る、を繰り返すぼくたち。はじめてフクロウを触ったけれど、ものすごい柔らかいのね。手触りがすごく気持ちいい。
そんなに広いスペースじゃないのに、けっこうの時間滞在して、予想以上に楽しめた。猫カフェ的なものもあったけれど、行くなら断然こっちだなぁ。
たくさんのお店を巡ったわりには何も買わなかった「フローラルビレッジ」をあとにしたぼくたちは、そろそろ夕食を食べようってことで次の目的地「由布まぶし 心」へ。
もちろんぼくたちは「由布まぶしって何だ?」という状態。
食べログ等で写真を見る限り、名物の豊後牛まぶしは、牛肉の薄切りが乗っている釜飯のようで、なんとなく“こんな味なのかな”と想像しながらお店に向かった。
ちなみに、「由布まぶし 心」は駅前にもお店があるようだけれど、ホテルにより近い金鱗湖本店に行くことに。
到着するやいなら、ラストオーダーまで1時間をきっていることを告げられて面食らうも(お店についたのが夕方5時くらい)、食べるものは決まっていたので、お目当ての豊後牛まぶしを注文。
で、この豊後牛まぶし、いろいろな意味で予想以上だった。
まず、付け合わせがどどーんと出現。
いずれも薄味で、日本料理独特の品の良さが漂う。とくにオクラとだし巻き卵が美味しい。ただ、このへんまでは予想の範囲内だった。
そしていよいよ本丸の登場。
まずビジュアルに圧倒される。肉でご飯が見えない。ネットでは見たけれど、実物を目の当たりにすると感動すら覚えてしまう。
「1杯目は、まずはそのままで釜飯本来の味をお楽しみください。2杯目はお好みの薬味をつけて。最後は、だし汁を入れてお焦げをふやかして、お茶漬けのようにして召し上がってください」と店員さん。
言われたように忠実にやってみる。
こ、これはっっ!
まず、肉が、ものすごく柔らかい。ごはんと一緒に口に運ぶと、肉の存在感を感じないほどで、口のなかで完全にごはんと肉が同化してしまう。しかもタレの主張が控えめながらも、しっかりと味を整えてくれていて、肉の香ばしさと甘さが口いっぱいに広がる。
2杯目は、薬味としてゆず胡椒をチョイス。
ゆず胡椒のスパイシーさとゆずの風味がピリっとアクセントになって、これまたひと味違った美味しさ。奥様おすすめの、わさびも至高。これは素晴らしい。
あっという間に2杯目をたいらげたあとは、いよいよだし汁を注いで、お茶漬け状態にする。
予想していたけれど、これも絶品。だし汁がものすごく上品で、これだけでもお茶漬けが数段レベルアップしそうな一品。それをこの豊後牛の旨味が染みこんだ釜飯と一緒に食べるのだから、期待外れなわけがない。お焦げの香ばしさも相まって、これ以上ないくらいの“お茶漬け”を堪能させてもらった。
いやー、美味しかったなぁ。食べることに夢中で写真撮るのを忘れたくらいだもの。
そんなこんなで、大満足のうちに一日目を終了。
DAY2
あけて二日目。
旅行のときって、だいたい7時頃に起きて8時前には朝食を食べて、準備してチェックアウトの10時前に宿を出る、みたいなパターンなんだけれど、今回宿泊した宿は9時までフロントが稼働しないだけでなく、そもそも朝食をホテル内で食べられないので、9時にチェックアウトしてから朝食を食べに行くことに。
朝早く起きてしまったぼくたちは、何をするでもなく9時までごろごろすることになってしまった。
ちょっとだけフライングして8時50分くらいにチェックアウトさせてもらい、宿がおすすめする朝食会場「カフェテラス ラ・リーシュ」へと向かう。ちなみに宿とこのお店がどういう関係なのかは不明。「ラ・リーシュ」に話が通っているわけでもなく、たんなる普通の客として利用する形になる。
ゴールデンウィーク中とはいえ、暦のうえでは平日だったこともあり、お店のオープンは9時。オープン前から数人の客が並んでいて、9時ちょうどにぼくたちも店内に通された。
“カフェテラス”という言葉どおり、このお店のウリは金鱗湖に面したテラス。 オープン前に並んだぼくたちも運良くテラス席に陣取ることができた。ラッキー。
天気も良く、朝から気持ちがいい。
ぼくたちが注文したのは「モーニングプレートセット」。まぁ、朝ですし。
金鱗湖も、来る前までは「ただの小さな湖(池)かな」程度の認識だったけれど、実際はなかなか風情があって良い場所。このお店のロケーションが良いせいもあるんだろうけど。
コーヒー、ヨーグルト、デニッシュパン、ソーセージ、生ハム、サラダ、卵料理がセット内容。
どれも基本的に美味しい。パンはサクサクしっとりだし、野菜が美味しいからサラダもしかりだし、スクランブルエッグは卵の味が濃いし、ソーセージも皮がパリっとしていて食べ応え十分。
あとコーヒーね。こういうところのコーヒーって、ただただ苦いことが多いんだけれど、ここのコーヒーはすっきりしていてとても飲みやすかった。
午前中の心地よい日差しもあって、大満足の朝食。これならホテルに朝食がなくてもいいかな。
朝食のあとは金鱗湖を散策。湖のまわりに遊歩道が整備されていて、のんびりと散歩できる。
湖にはコイやらアヒルやらの動物たちも。しかもアヒルがやたらと人に慣れていて驚く。
ものの数分も歩けば、湖の対岸にたどり着く。
奥に見えるグリーンのパラソルがある場所が朝食を食べた「ラ・リーシュ」。そうそう、このお店の2Fにはマルク・シャガールの美術館が併設されている(行っていないけれど)。
金鱗湖をぐるりと歩き回って、思い出した。「ラ・リーシュ」の入り口そばに、コーヒーとクロワッサンのお店があることを。さっそく向かう。
その名も「HAND DRIP COFFEE SHOP」。
何を隠そう、個人的にいちばん好きなパンの種類がクロワッサン。だからこそ、行かなくてはならないお店だった。
しかし!
この日に限ってクロワッサンがお休みという悲しい仕打ち……。
なんでも毎日あるわけではなくて、週の半分くらいはクロワッサンがないのだそう(もう少し詳しく聞いたけれど失念)。仕方がないのでアイスコーヒーを注文。
V60でドリップしたアイスコーヒーは最初はスッキリしているけれど、あとからしっかりと苦味が主張してくる美味しいコーヒーだった。もうちょっと詳しい話はまた別のポストで。
クロワッサンがなかったことがそれなりにショックだったものの、気を取り直して次の目的地へと向かう。
川沿いをのんびり歩く。
湯布院は基本平地なので坂がなく、徒歩移動が苦にならない。景色も良いし、「こんなところにこんなお店が?」という具合で、意外な場所にお店があったりするので、それを探すのもおもしろい。
こういう雰囲気って関東にはない気がする。強いて言えば、鎌倉? 鎌倉をもっと和モダンにして、かつのどかにして温泉地にした感じ。
老舗旅館 「玉の湯」の脇道を少し入った場所に次の目的地「ティールーム ニコル」がある。
さっきコーヒー飲んだのに、またカフェ? 的な突っ込みはさておき、ここにきた目的はひとつ、至高のアップルパイを食べるため。
あまりの人気で午前中に行かないと食べられないという前情報。おそるおそる覗いてみると、あらら、もうすでに混んでいてしばらく店外で待つことに。
しばらく待って店内へと通されるも、ティールームのテラスではなく、バーエリアの席。天気が良いのに暗い室内……ちょっと残念だけれど仕方がない。
問題はまだアップルパイが残っているかだ。
「アップルパイまだありますか?」と聞くと、「確認いたしますのでお待ちください」と店員さん。
……「はい、まだございます」
よかった。ここでなかったら来た意味がない。さっきコーヒーを飲んだので、ここは紅茶とのセットにした。
ほどなくしてアップルパイ登場。
ネットで予習済みだったものの、あらためてみると一般的なアップルパイのそれとは違う外観に見入ってしまう。
「うわー、こんなアップルパイ見たのはじめて」と奥様。
薄いパイの上に、これまた薄くスライスしたリンゴが並べてある。
さっそく食べてみると……美味い。リンゴの酸味とパイのシロップの甘み、そしてサクっというパイの食感のバランスが絶妙。甘すぎず、酸っぱすぎず、そのさじ加減が、じつにちょうどいいのだ。そもそも、使っているりんごが美味しいんだろうなぁ、これは。
「湯布院まできて、どうしてアップルパイなのって思っていたけれど、これは納得」と奥様も絶賛。
今のところ外れがない湯布院の食に大満足しながら、ぼくたちは次の目的である「馬車に乗る」ために駅前へと向かった。
湯布院には馬車でのんびり観光スポットを巡ってくれる「辻馬車」という“足”がある。パカパカと蹄の音をたてながら走る様は、じつに情緒があっていい。
案内所でどうやって予約するのかを聞くと驚きの言葉が。
「すみません、今日は開始20分ですべて終わってしまいました……」
人気だとは聞いていたけれど、ここまでとは。
「仕方ないね」と、子供に言い聞かせ、どうしようかと家族会議。そのとき、駅の改札口でたまたま目に入った“足湯”に入ることにした。こういう楽しみも温泉地ならでは。
ゆふいん駅(駅名はひらがな表記)のホームのすみに、なんと足湯がある。
有料(といっても大人160円)だからか、ゴールデンウィークでも利用者が少なく、ほぼ貸し切りで堪能。
時折ホームに入ってくる電車を眺めつつ、のんびりと足を湯につけてくつろぐ時間は、なんとも良いもの。こんなことができるのも湯布院ならではだろう。
ただ、お湯の温度は少々高め。
子供は結局入れずじまい、大人のぼくたちも最初は「あつっ!」と声が出てしまうほどで、しばらく足をつけているだけで額から汗が出てきた。
なんだかんだで足湯を堪能したぼくたちは、昨日、タクシーの運転手さんに聞いたそば屋へ昼食を食べに向かうことに。
そのお店とは、先ほどの「ニコル」にほど近い場所にある「花野そば」。
十割そばが有名らしく、ちょっとマニアックな場所にあるにもかかわらず、行ったときには長蛇の列が……。
しかもそのほとんどが韓国からの観光客で、お店のまわりにはハングルで「入らないでください」的な注意書きがそこかしこに掲げられていた。
「本当はあきらめたいけれど、せっかく来たからには食べたい……」と、弱音を吐いてしまうくらい待ち、ようやく店内に。
注文したのは、十割そばと卵焼きと、おにぎり。
細麺のそばは適度にコシがあり、そばの風味がとても豊かで美味しい。さすが十割。もともと量がそんなに多くはなかったけれど、ペロっと食べてしまった。
あと、個人的に気に入ったのは生わさびが出てくること。
やっぱり生わさびをゴリゴリをするという時点で心躍るし、自分のなかで名店ブーストが一気に加速する(笑)。
卵焼きも、おにぎりも、もちろん良いお味。
そうそう、そば湯がまた絶品。トロっとしていて、甘い。そばの〆は、やっぱりそば湯だよねぇ。
長時間並んだことをすっかり忘れてしまうくらいに満足したぼくたち。そろそろ帰りのバスの時間が近づいていることを知り、駅前方面に向かって歩き始めた。
駅前の道中、また見つけてしまったコロッケ屋。
そば屋で腹八分目だったこともあり、だめ押しでコロッケを購入(笑)。
コロッケコンクール金賞受賞、だから「金賞コロッケ」。わかりやすくストレートなネーミングがいいじゃない。これは買ってみたくなるよね。
お値段は160円だったかな。昨日食べたコロッケよりも小ぶりだけど、ピリっと胡椒が利いていて、これはこれで美味しい。甲乙付けがたし。
ここには書いていないけれど、はちみつ入りの抹茶ソフトクリームも濃厚で美味しかったなー。
はじめて訪れた湯布院。
ぼく自身、ものすごく気に入ったし、奥様も同様の感想だった。
まず、伝統的な温泉地にありがちな、昭和の場末みたいな雰囲気が皆無。それどころか、活気があって、清潔で、情緒に溢れている。今風のオシャレなお店も多くて、古き良き時代と今の新しい時代のものが、ものすごくうまく共存している印象を受けた。こういう雰囲気の温泉地って、ほかにないかも?
あと、前にも書いたけれど、街が平地だから散策しやすいのも良いところ。温泉地って草津しかり伊香保しかり、坂だらけなことが多いからね。
もちろん、今回は外れなしという出来すぎな結果に終わった“食”についても大満足。ホント、口にするものすべてハイレベルで美味しかった。
湯布院。また行きたいかと言われると、もちろん行きたい。今度は、旅館で2食とも宿で食べてみたいな(笑)。いい値段しそうだけれど。