「日本に数台しか現存しない業務用直火焙煎釜」「三代にわたる伝承技術」「自家焙煎40年の実力」なんてパワーワードを目にしたからには行かないわけにいかないよね……というわけで、真夏の浅草にコーヒー豆を買いに。
向かうは「ツルヤコーヒー」。先にも書いたように、歴史ある自家焙煎店で、喫茶ではなく豆売り専門店。
残念ながら写真は撮っていないので、気になる人は検索してみてください。
入口を入ると店内にはだれもおらず……「ご用の方はこちらを鳴らしてください」的なボタンがあり、押すと、奥のほうから「はーい」と声が。
出てきたのは、駄菓子屋のおばちゃん的な(好意的な意味で)人懐っこそうな奥様。ご主人は不在のようだ。
「豆をいただきたいんですけど」というと、「どうぞどうぞ。今あるのはこのあたりですねー」と、目の前の瓶に入った豆を指さす。
見ると、瓶のふたに国旗のシールと国名が書かれていて、ストレートと思わしき豆が並んでいる。
「ブレンドはないんですか?」と聞くと、「このあたり全部ブレンドなんですよ」と奥様。
よーく見ると、「○○ブレンド」と書いてあるものがいくつかあった。
奥様「濃いのが好きですか? 浅煎りが好きですか?」
ぼく「あんまり浅煎りは好きじゃないんですよね」
奥様「じゃあ、このあたりがおすすめですね」
と、見るとフレンチくらいの豆だったので……
ぼく「あ、これはちょっと深すぎですね。もう少し浅めがいいです」
ふと見るとフルシティくらいに焼かれた「シティロースト」と書かれた豆を発見。
ぼく「これはブレンドですか?」
奥様「はい、シティローストはブレンドです。コロンビアと……(内訳は失念)」
ぼく「あ、シティローストって名前だったんですね!」
ローストレベルの表記と思いきやブレンドの名前だったことに衝撃を受け、200gお買い上げ。
さらに、日本に数台しかないという焙煎機が見たいというと、どうぞどうぞと、引き戸をガラガラっと開けて「これなんですよ」と見せてくれた。
奥様曰く、いわゆる富士ローヤルの直火釜らしい。
かなり年季が入ったビンテージ機で、機械油とチャフが焦げた臭いが、その歴史を感じさせる。
ご主人がいらっしゃったら、もう少し深い話ができたかもしれないなーと思いつつも、お店をあとにした。
懐かしさを感じる古き良きコーヒー
と、いうわけで「シティロースト」。
家に帰ってみたら油でテカッテカ。そりゃまあ炎天下のなか、リュックに入れて歩き回ったのだから仕方ないか。
いつもよりメッシュを細くするも、なかなかメッシュが合わず……。やっぱり焙煎豆を一度温めてしまうとエスプレッソには向かないね。
抽出が早く、エスプレッソはシャバシャバとなり、ラテは嫌な苦味が際立つ結果に。翌日以降もメッシュ調整を試みるも満足なクオリティにはならず、結局ラテは断念し、アイスコーヒー用にすることに。
アイスコーヒーにすると、キリっとした苦味と豊かなコクが心地よい。でもって、クリア。わかりやすくいうと、昔ながらのアイスコーヒーという感じ。
直火式の焙煎機でコモディティコーヒーを深めに焼いた、懐かしい味。プレミアムやスペシャルティに飲み慣れていると、さすがにちょっと物足りなさはあるけれど、たまにはこういうのも良いよねー。