広島県は尾道から愛媛の今治まで伸びるしまなみ海道を自転車で楽しみながら、しまなみのコーヒーショップを巡る旅行記第2弾。
初日は尾道から大三島まで走り、そこで一泊。
そしていよいよ旅は後半戦。大三島から今治へ。
大三島を満喫。朝イチで天然記念物「生樹の御門(いききのごもん)」へ
あけて二日目。
今回宿泊した「IKIDANE HOSTEL & CAFE SHIMANAMI」、部屋と廊下はカーテン一枚だけの仕切りゆえに、口コミだと「ほかの部屋の話声が気になる」「いびきが気になる」なんて声もあったけれど、この日に関しては全く気にならず、快眠。そもそも宿泊客が少なかったという理由もあるのかもしれないけどね。
7時起床。すぐにシャワーを浴びて身支度を整え、8時前には朝食へ。
朝食は、まあよくある感じのラインナップ。地元のジャムが豊富に揃っていたのが印象的だったけれど、ぼくは基本、朝は和食な人なので、無難に和食を中心にとる。
朝食を食べ終わったら、9時までしばらく休憩。じつは昨日も利用した「しまなみ手ぶら当日便」を使うために、9時まで集荷待ち。
とはいえ、大三島にクロネコヤマトの営業所はない。
そこでどうしたかというと、クロネコヤマトへの取り次ぎをしてくれる「WAKKA」という会社が大三島にあり、その「WAKKA」が宿まで集荷にきてくれるのだ。なんて便利なんだ。
「しまなみ手ぶら当日便」も事実上今日が最後。来年もあるといいなぁ。
荷物を今治のホテルへ発送したら、チェックアウトして出発〜。
今日も良い天気。
宿のすぐ向かいにあるファミリーマートでお茶を買って、いざ大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)へ。
大三島の中央付近、県道21号線を東から西へ突っ切るように走る。
いや〜良い天気。クルマも少ないし、気持ちいいね〜。
序盤こそ軽い上りだったものの、だんだんと斜度がきつくなる……。朝イチの峠越えかぁ。まだ元気だからいいけど、今日の後半がちょっと心配。
ハァハァ言いながら峠を越えたら、爽快な下りを駆け下りると……大山祇神社が見えてきた!
そしてYouTubeで何度も見た食事処「大漁」も。そうか、ココにあったのか。
この神社、バイクラックがしっかりと整備してあって、とても有り難い。
自転車をとめて、境内へと向かう。
境内にはご神木の立派なクスノキがあり、周囲の補修工事が行われていた。やっぱりメンテナンスが大変なんだね。
……と、大山祇神社にきたはいいものの、じつはぼくの目的地は正確にはココではないことを思い出す。行きたいのは「生樹の御門(いききのごもん)」。1本の巨大な木の間に参道が伸びる奇妙な場所でもあり、有名なパワースポットでもあるらしい。
周囲をキョロキョロしていると、小さな案内板を発見。それに従い細い路地を歩くこと5分、あった……。
おおおおお。なんて神秘的なんだろう。
そこには超巨大なクスノキと、そのなかを貫くように伸びる階段があった。
あまりの大きさに圧倒されつつも、ゆっくりと階段をのぼり、木のなかを通してもらった。
なんだか、不思議な感じ。
そこに一匹の野良猫が。
ゆっくりと近づきながら声をかける。
「おーい」
「ニャー」
返事してくれた。
「なにしてるの?」
「ニャー」
トコトコと歩いたと思ったらオシッコでした。
「なんだオシッコか」
オシッコが終わってぼくの前を歩きながら彼は言う。
「ニャー」
なんだか、“見て見て”と言っているかのよう。
次の瞬間、彼は天然記念物のクスノキの枝に飛び乗り、ドヤ顔で爪を研ぎ始めた。
「あー、ここはキミの遊び場なのね」
「ニャー」
ひょいっと枝からおりてきて、のどを鳴らしながら足にスリスリしてきた。
「ニャー(ゴロゴロ)」
「よしよし。このへんに住んでるの?」
「ニャー(ゴロゴロ)」
「そうなんだー。かわいいなぁ。でも、そろそろ行かなきゃいけないんだよね」
と立ち上がると、
「ニャー」
と、トコトコと草むらへ歩き始めた。
「バイバイ!」
「ニャー」
と、最後まで返事をしてくれたネコ。
ほんの束の間だったけれど、なんだか会話をしているかのようで、ほっこりとした気分になった。
大三島の北側をぐるっとまわって、しまなみコーヒーへ
大山祇神社をあとにして、ぼくが次に向かったのは「伯方塩業 大三島工場」。そう、あの“はっかったのっしお!”で有名な伯方の塩をつくっている工場だ。道が少し複雑なので心配だったけれど、一応観光スポットだからか案内板がちゃんとあって、迷うことなく行けた。
自転車で10分もかからず到着。
「なるほどー。ここがそうかー」と、外観だけ見て終了(笑)。
時間があれば工場見学もしてみたかったんだけれど、この日は予定がいっぱいなので、見学はまたの機会に。
ちなみに工場入口にはベルがあり、鳴らすと例のメロディを奏でることができる(ぼくは鳴らしてないけれど)。
急げ急げと、次の目的地へ向かう。
ふたたびペダルを漕ぎながら、大三島の外周コースを北上。
青い海と空、そしてレモン畑が広がる景色は、本当にきれいで、もうずっと見ていられそう。
途中、2ヵ所ほど嫌な感じの上り坂が出てきたけれど、この景色のおかげで、そこまで苦に感じなかった。
しかも交通量が少なく、オフシーズンだからかサイクリストも少なく、ほとんど貸切のような気分。贅沢だな〜。
大三島をのんびりと走り、多々羅大橋のあたりまで戻ってきた。
次の目的地は「しまなみコーヒー」。
多々羅しまなみ公園の丘の上にあるコーヒーショップ。調べたところによると、愛媛県の伊予市にある「下灘珈琲」の2号店らしく、基本、週末にしか開店しないというレアなお店。
トレーラーを使った簡易的な店づくりが特徴で、周囲にはさまざまな形のテーブルやオブジェ、ブランコなどが置かれている。そこからの眺めの良さもあって、インスタ映えすることでも有名らしい。
ぼくはとにかくココに来てみたかったので、しまなみツアーのスケジュールを平日で組めなかったというのはココだけの話。
先客は女の子ふたり組(おお、ぼくだけじゃない!)。
バイクラックに自転車をひっかけて、ホットコーヒーを注文すると、店員さんがていねいにドリップしてくれた。
美しいしまなみの景色を眺めながらいただくコーヒーは最高。
豆は……ブラジルかな?(未確認)
後味がスッキリしていて、かつ、しっかりとコクがあって、すごくぼく好みの味。美味しい。ロケーションのせいで美味しさが1.3倍くらいになっているかもしれないけれど。
“こんなオープンスペースなお店も良いなぁ……”なんて思いながらコーヒータイムを楽しんだ。
コーヒーショップ2連続。次は「オミシマコーヒー焙煎所」へ!
素晴らしい景色のなかでまったりコーヒータイムを楽しんだぼくは、同じ大三島にあるコーヒーショップ「オミシマコーヒー焙煎所」を目指す。
大三島を今度は南下。といっても外周コースを伯方島方面へ進んでいけばOK。
ただし、そのまま伯方島へ行ってしまうとダメで、大三島の外周コースを走り続ける必要がある。が、じつは、ここでちょっとだけやらかしてしまった。
本来なら県道51号(大三島環状線)を走るのが正しいんだけれど、そこにはけっこうな上り坂があり、ぼくはそこを走るのがどうしても嫌で、海岸線に沿って走れないものかと考え、国道317号をそのまま走り続けてしまったのだ。
ところが、国道317号がつながっていたのは、結局のところ県道51号で、避けたつもりだった上り坂を結局は走ることになってしまったという……。
本当は317号で一ヵ所、怪しい分岐があり、そこを降りていけば大丈夫だったことをあとから知ったものの、あまりに怪しい雰囲気だったので安全パイをとってしまったことが敗因。うーん(泣)。
それがその分岐点。サイクリングロードを走るならまっすぐが正解。でも、ここを左へ行けば、上り坂を走ることなく「オミシマコーヒー焙煎所」へと行くことができる。
余計な行程をふんでしまったものの、無事に「オミシマコーヒー焙煎所」に到着。
築70年の古民家カフェゆえに、知っていないとスルーしてしまいそう。
「オミシマコーヒー焙煎所」という看板を確認して、自転車を止め、お店のほうへ歩いていくと……思った以上に普通の家だった(笑)。
ココ(玄関)から入っていいのかな……と、ちょっと躊躇しつつ、引き戸の扉を開けると……やっとお店だと認識できた。
しかもぼくの前にサイクリストの先客が。さすが土曜日。
ご夫婦でやられているようで、奥さんが対応してくれた。
ロースタリーということもあって、コーヒー豆の種類が豊富で迷う。いくつかのシングルオリジンとブレンドがあり、エチオピアにしようかなーと思ったけれど、やっぱりここはお店の味を、ということでブレンドのホットコーヒー、そして甘いものが食べたかったので、「チョコレートのベイクドチーズケーキ」を注文。
「これ、チョコレートが入ってますけど、大丈夫ですか?」と奥さん。「はい、大丈夫です〜」と、ぼく。
チョコレートが入ったチーズケーキなんて初めてだな。ちょっとわくわく。座席は横の和室。
靴を脱いで上がると、これから渡ることになる大三島橋と、それに続く伯方島の美しい景色が見えた。
おおおー。いい眺め。
しかもだれもいないという貸切状態。さっきのローディーさんはどこへ行ったんだろう……なんて思っていると、コーヒーとチーズケーキ到着。
まずはチーズケーキを……。
おお! チョコレート味のチーズケーキだ! というそのまんまの感想だけれど、これが予想以上に美味しい。
チョコレートとチーズって意外に合うんだね。
コーヒーも多分深煎りだと思うけれど、苦味と甘みのバランスが良くて、このチーズケーキととても合う。ブレンドにして良かったー。
本当なら豆を買っていきたいところだけれど、なにぶん自転車で荷物を増やしたくないので、それは断念。
素晴らしい眺めを楽しみつつ、ゆっくりまったりコーヒーとチーズケーキを堪能したのでした。
まさに至福。
途中からお客さんがひとり入ってきたけれど、基本的には空いていて居心地が良いお店。今度しまなみに来たときも再訪したいなぁ。
伯方島「ドルフィンファーム」でイルカを間近で見る!
「オミシマコーヒー焙煎所」をあとにして、また再び坂を上り、国道317から大三島橋を経由して、いざ伯方島へ!
大三島橋はかなり短めの橋で、全長は328メートルしかないらしい。なので、わりとあっという間に伯方島へ上陸。
伯方島でも行きたかった場所がある。残念ながらコーヒーショップではなく、「ドルフィンファームしまなみ」。その名のとおり、イルカと触れあうことができる体験施設。こういうところ好きなんだよね〜。
ペダルを漕いで伯方島を南下していると、わりとすぐに発見。
「道の駅 伯方S・Cパーク」と隣接しているので、わかりやすい。
ちなみにこの道の駅、伯方の塩ソフトなんかが有名なのだけれど、例によって寒いのでパス。今度は温かい時期にこよう。
道の駅のバイクラックに自転車を置いて、待望の「ドルフィンファーム」へ。
大人ひとり500円。安い。
チケットを買ってなかへと入ると……いたいた! おお〜、こんなに間近で見たのは何気に初めてかも。
ネットで区切った4つくらいの区画があって、それぞれに何頭かのイルカがいるみたい。
しかもどの子も人懐っこくて、近づくと寄ってきてくれる。
残念ながら触ることはできないけれど、手を伸ばせば触れられるくらいの距離まできて、何かを期待するような目で見てくる(笑)。
なにも持っていないんだなぁ、これが。
別料金で餌やり体験や、イルカと触れあったり、一緒に泳いだり、という夢のようなプログラムもやっているらしい。時間があったらやりたかったなー。ていうか、本当なら子供を連れてきたい。
とはいえ、見るだけでもすっかり癒されたのでした。
あんまり長居はできないので、道の駅を出発。
本当ならこのあと伯方島にある伯方の塩ラーメンを食べたかったのだけれど、スケジュールを考えると今治につくのが遅くなりそうなので、残念ながら諦めることに。ラーメンは次回だね、次回。
いよいよ旅はクライマックス。そして亀老山は幻へ。
そして伯方橋を渡って、いよいよ最後の島、大島へ。
じつは大島では「こりおり珈琲」という、ぜひ行きたいコーヒーショップがあったのだけど、ぼくがしまなみ滞在中はお休みということで行けずじまい。
このお店も基本的に週末だけ開店というスタイルだったので、行けなかったのは心残り。次回はぜひ行きたいな。
大島に上陸したら、しばらく海岸線を南下したのち、国道317号で大島を中央部分を突っ切る感じになるのだけど、ここにきて最大の誤算というか、思いがけない展開になってしまう。
とにかく上り坂がずーっと続くのだ(泣)。
そんなにキツイ坂ではないのだけれど、とにかく長いので、徐々にではあるけれど確実に足にダメージがくる。
しかもさっき「オミシマコーヒー焙煎所」に行くとき、道を間違えて無駄な工程をふんでしまったこともあり、この時点でけっこう足が疲れていた。そこにきてこの坂だ。
オマケに道は海岸線ではないので景色も見るものがないときた。ただの苦行だねココは。
こんな調子なので、旅の最後に予定していた「亀老山展望公園」なんて行く気力もなく(亀老山はかなりの激坂らしい)、しかも亀老山に上る時間を考慮してラーメンを食べに行かなかった関係で、お腹も減るし、かなりブルーな気分で淡々とペダルを漕ぐことに……。
けっこうヘトヘトになりながら、ようやく最後の下り坂をくだり、「よしうみいきいき館」という道の駅へ。
海鮮バーベキューで盛り上がっているのを横目に、「まあいい。せめてこれでも食べよう」と、タコのからあげを注文。
待っている間、「足疲れたー」「お腹すいたー」この2ワードがずっとループし続ける。
そして出てきた、たこのからあげ。
「ああ、たこのからあげだ……」と、当たり前のことを思いながらもひと口。
んっ!?
こ、これは!!
美味ーーーい!!!
予想を大きく上回る美味しさに驚く。
衣がサクっとしていて、タコがとても柔らかく、噛めば噛むほどうま味が出てくる。
こういうのって、だいだいちょっと硬くて、タコが歯の間に挟まって困るのがオチなんだけれど、これに関しては全くそんなことなかった。
腹ぺこということもあったので記憶が誇張されている可能性もあるけれど、とにかく美味しかった。
「ほかのメニューも美味しいのでは」と思い、けっこうな人が注文していた「じゃこ天」を食べみることに。
んんっ!?
あっっっつ! これが、じゃこ天か!!
これもウマーーーーーーーーーーい!!
なんというか、じゃこが入ったすり身を揚げた感じのものなんだけれど、なんだろうね、あつあつホクホクなのはもちろんだけれど、じゃこをはじめとする海産物の風味がとても豊かで、B級グルメとしてはトップクラスの美味しさだった。そりゃみんな食べるよねー。
思いがけず美味しいモノに巡り会えて、心も体もちょっと回復したぼくは、ゴールである今治へと出発した。
「よしうみいきいき館」からも綺麗に見える来島海峡大橋。これを渡ったら、今治だ。
にしても橋の高さが高いためか、橋に上るまでのアプローチが長い……。最後の最後にこの仕打ち。くっそー。
しまなみ海道、最後の橋、来島海峡大橋は、橋の長さだけで4キロにもなる超巨大な橋。高さも65メートルあり、眺めが素晴らしい。
「ああ、しまなみ海道もこれでおしまいか。ちょっと寂しいな」
「うわー、たっか。でもすごい眺めだなぁ」
「つーか、まだ続くのかよこの橋……」
なんて思いながら、最後の橋を堪能した。
そして、ついに四国へ上陸!
来島海峡大橋を渡ったあと、本当なら海岸線を走ろうと思っていたんだけれど、「今治方面」という案内に沿って走っていたら、自然に市街地コースに誘導されてちょっと残念な気分になる。
「なんでこんなところを走らせるんだろう」と思わずにはいられない、ただの幹線道路をひた走ること約30分、ついに個人的にゴールに設定していた今治城に到着。
この日の走行距離はほぼ70キロ。昨日のを合わせると130キロか。
今治のB級グルメ、焼豚玉子飯とは!?
「フロントシングルかつフラットペダルの小径車にしては、まあまあ頑張ったほうなんじゃない?」なんて思いながらこの日の宿泊先の「今治国際ホテル」へ。今治城からわりとすぐ。
「今治国際ホテル」は、今治市内でいちばんの高級宿と言われているホテル。とはいえ1泊朝食付で12000円だったから、まぁ、普通のビジネスホテルに比べるとちょっと割高な感じだけれど、びっくりするほど高いわけじゃない。
どうしてココを選んだかというと、自転車をそのまま客室に持ち込めるから。やっぱり、走り終わったあとにいちいち輪行袋にパッキングしたり、防犯上不安な場所に置いておくのはちょっと気が引けるからね。
で、部屋が広い!
ここにひとりで泊まるのは、ちょっともったいないくらいに広い。アパホテルに慣れていると余計にそう感じちゃう。
部屋の片隅に自転車を立てかけて、サクッとシャワーを浴びたら、夕食を食べに出かけよう。
なにを食べるかはすでに決めていた。それは今治のB級グルメ、焼豚玉子飯(やきぶたたまごめし)。
ネットで焼豚玉子飯を食べられるお店を調べると、ホテルのすぐそばに「白楽天 今治本店」という有名店があることを知ったので、そこへ行ってみた。
けっこう大きめの店構え。しかも、夕方5時くらいなのに、すでにけっこう混んでいる。人気店なんだね〜。
いかんせん腹ぺこなので、焼豚玉子飯単品では物足りないと思い、Aセットの、しかも大盛をオーダーしてしまう。
しかーし、出てきたものは予想を遙かに上回る量だった……。
「これはヤバいかもしれない」と、直感的に感じる量。
後悔してもはじまらないので、とにかく食べてみることに。
んんっ!?
こ、こいつ……甘いぞ!?
そうなのだ。甘いのだ。
ごはんの上にチャーシューと目玉焼きがのっていて、そこに甘辛いタレがかかっているといえばそのとおりなのだけれど、このタレは、どちらかというと“辛い”よりも“甘い”が勝っていた。
予想外の甘いごはんに「やばい、これは味的にもキツいかもしれない……」と怖じ気づいてしまう。
お店によって味はけっこう違うらしいけれど、少なくともこのお店の焼豚玉子飯は、ちょっとぼくには甘すぎて、甘さをごまかすために胡椒を多めに振ってみてもあまり効果がなく、なかなか思うように食べ進めることができない。
しかも、この量だ。
合間合間にスープや唐揚げ(このあたりでは「せんざんき」と呼ばれている)で口直しするも、玉子飯を口に入れると「あー、甘いー、味が重いー」となり、最終的には限界まで食べたものの完食できず……。残してごめんなさい。
お詫びってわけじゃないけれど、この店で売られていた「バリィさんのマスコット」をお土産にお買い上げ。ちなみにバリィさんというのは今治市のゆるキャラね。
腹ごなしに夜の今治を少しだけ散策し、ホテルに戻ってこの日は就寝。明日は今治ともお別れだ。
「ナカムラコーヒー」へ寄って、福岡へ
翌朝、今治は晴天。
朝食付プランにしていたので、朝食会場で朝ごはんを。
さすがは今治一のホテル。メニューの数がすばらしいだけでなく、味も抜かりない。例によって和食中心でセレクトしたぼくは、日本庭園風の中庭を眺めながら、ゆっくりと食事を楽しんだ。
身支度を調えてチェックアウトしたあと、じつは行きたいところがあった。
ホテルのわりと近くにあるコーヒーショップ「ナカムラコーヒー」。時間的に、今治で行ける唯一のカフェになりそうだけど、せっかくだから行きたいじゃん。
自転車を押しながら、今治の街並みを楽しみつつお店へと向かう。
さすがはしまなみ海道の始点の街だけあって、お店の前にはしっかりとバイクラックが。ありがたいね〜。
かわいらしい青いドアを開けると、そこには自転車好きなオーナーらしい、趣向を凝らしたインテリアの数々が目に飛び込んでくる。あちらこちらに自転車にまつわるアイテムがちりばめられていて、おもしろい。
で、久しぶりにカフェラテを注文(笑)。
マスターがラマゾッコのマシンを華麗に操りつくってくれた。
おお〜。ビジュアルはイイ感じ。
ひとくち。
あああーー、落ち着く(笑)。
味云々よりもなによりも、久しぶり(といっても3日ぶり)のラテに、ホッとする。
もちろん味も申し分なく、苦すぎず、酸っぱすぎずでバランス型でぼく好み。ローストレベルがきっとちょうどいいんだろうね。
朝から美味しいラテをいただけて満足したぼくは、自転車を漕いで今治港方面へ。
朝ということもあって閑散としているけれど、寒いからか遠くまで見渡せ、向こうには来島海峡大橋も見えた。
「あー、昨日はあれを渡ってきたんだなー。次に渡れるのはいつになるかな」なんて思いながら、今回の旅を頭のなかで振り返っていた。
終わってみると本当にあっという間だったから、これで終わりとちょっと寂しいね。
帰りの電車の時間が迫ってきたので今治駅へと向かう。自転車ですぐの距離。
今治駅にはジャイアントストアなんかもあって、なかなか賑やか。ぼくは駅前で輪行袋に自転車をパッキングして、福岡への帰路についたのでした。
そうそう、帰りの「特急しおかぜ」は、念のためにグリーン車を選択。自由席だと自転車の置き場に困る可能性があるからね。
グリーン車の最後尾をねらっていたけれど、残念ながら埋まっていたので、最前席に。足を伸ばせず、自転車が微妙に邪魔ではあるけれど、グリーン車は人も少ないし、わりとイケる。
帰りは特急しおかぜで今治から岡山に行き、そこから新幹線(こだま)で博多へ帰るルート。やっぱりこだまは輪行には最適だね。
で、今治までは天気だったのに福岡についたらけっこうな雨模様……。トホホ。なんだかんだで、帰りの博多駅から家までの道のりが今回の旅でいちばん大変だったなー(笑)。
はじめてのしまなみ海道。その感想は?
というわけではじめての「しまなみ海道」。どうだったかというと、ひとことで言うと最高でした。
景色がとにかく素晴らしく、時間があったらもっと走っていたい、そんなふうに感じられるほど。
今回は念のために1泊2日でしまなみ海道を走ったけれど、正直、あちこち見てまわることを考えると、とても時間がたりない。2日あれば大丈夫だろうと思っていたけれど、それでも足りない。
逆にいえば、ストイックに尾道から今治まで一気に走ってしまうのはもったいなさすぎる。今回はじめてだったから余計にそう感じるのかもしれないけれどね。
というわけで今回の旅で実現できなかったことを備忘録として書いておこう。
- 尾道を散策しきれなかった
- 向島のパン屋とラムネ屋に行けなかった
- 向島の「珈琲豆ましろ」に行けなかった
- 生口島をもっとゆっくり散策したかった
- 生口島で「ちどり」のたこめしを食べられなかった
- 大三島で伯方の塩工場を見学できなかった
- 大三島で猪骨(ししこつ)ラーメンを食べられなかった
- 伯方の塩ラーメンを食べられなかった
- 結局、塩ソフトなどの塩系スイーツを食べていない
- 大島の「こりおり珈琲」に行けなかった
- 亀老山に上れなかった
こうして羅列すると、けっこうあるな……。
また今度行ったときに実現しよっと。
おしまい。