バレルエイジドコーヒーを仕込んだついでに、せっかくだからと、お酒が入っていたボトルにコーヒー豆を入れて寝かすこと約1ヶ月、一足早くボトルエイジドコーヒーができあがった(ちなみにバレルエイジドコーヒーはまだ樽にお酒を染みこませている状態)。
正直、このボトルエイジドコーヒーも、どのくらい寝かせばよいのかわからないので、とりあえずひと月寝かせた状態の味なり風味なりを見るために焼いてみることを決意。
ボトルから取り出した生豆は、見た目はとくに変わりのないブラジルショコラ。ただし、香りはお酒の風味というか、ウィスキーっぽい香りが染みこんでいる。鼻を突くような香りじゃなくて、生豆特有の青くさい香りのなかに、ほんのりとウィスキーっぽいフレーバーを感じる程度だけどね。
というわけで焙煎開始。
いつものように焼いていると……!? 温度が上がりづらい!!
投入温度と火力を普段どおりに設定してみたら、ドライエンドまでの時間が1分30秒くらい延びてしまった。これはいかんとドライエンドからの火力を普段よりも上げて焙煎。
1ハゼ以降の火力も普段より少し強めにしたら、予定よりも少しだけ深くなってしまったけれど、まぁ許容範囲内で焙煎完了。
焼き上がった豆からの香りはどうかというと、ちゃんとボトルエイジドコーヒーしてる!
ちゃーんとお酒のフレーバーがする。猿田彦のバレルエイジドよりも控えめだけれど、正直、ここまで残るとは思わなかったから意外。
というわけで、ボトルエイジドすると生豆がお酒を吸って水分量が増えてしまうのか、初期の温度上昇率がかなり鈍り、普段のプロファイルが使えないことがわかった。焙煎の善し悪しはさておき、個人的にはこれだけでも収穫かな。
さて、翌日、カフェラテに。
豆の硬さは普段のブラジルと大差なく、メッシュ調整に困ることもなく、いきなり普通に抽出できた。
もうね、エスプレッソの香りからしてお酒のフレーバーが感じられて、ミルクを注いでも普通のカフェラテじゃないことが香りからわかる。
味はというと明らかに普通のブラジルショコラとは違っていて、最初の口当たり、舌に乗ったときの質感こそショコラだけれど、そこから先の鼻から抜けていくフレーバー、そしてアフターテイストは明らかにバレルエイジドのそれ。洋酒のニュアンスがふわっと感じられて、これがなかなか良い感じ。
猿田彦ほどガツンとくる感じではなく、猿田彦が100だとしたらこれは60くらい?
使っている豆がブラジルだからという理由と、仕込みの時間と環境のせいもあって、やや控えめながらも、これはこれで主張しすぎない感じがいい。
「なにこれ。体験したことがない味」と奥様。
「味はどう? 美味しいの?」と聞くと「うん、美味しいけれど、不思議な味」と、あれほど酷評していた猿田彦とは違って、まずまず肯定的な評価。これはブラジル様々かもしれない。
次に写真はないけれど、ドリップ。
猿田彦同様にラテよりもよりボトルエイジドコーヒーらしさが感じられるのはドリップで、こちらはよりお酒のフレーバーが際立っている印象。
焙煎後一週間くらいすると、アフターテイストにモカっぽいニュアンスも感じられるようになって、これまた美味しい。
お酒が主張しすぎず、控えめすぎず、という塩梅がこれまた良くて、奥様からも「これはなに?」と聞かれることはあっても、猿田彦ほどのネガティブな意見は出かなかった。
良くも悪くも、基本的にはブラジルのショコラにお酒のフレーバーが加わった味で、猿田彦のようなお酒と豆が渾然一体となって未知のテイストを醸し出している……というものではないかな。より万人向けというか、バレルエイジドコーヒー入門編という意味では試しに使ったブラジルという選択は悪くないと思った。
必ずしもバレル(樽)である必要はナシ!?
あと、結果的にわかったことは「バレルエイジドコーヒーのようなものをつくる手段としては、やっぱりバレル(樽)である必要がない」ということ。
今回はお酒が入っていたボトルに生豆を入れただけだったけれど、それでも十分に香りがついていたので、必ずしも使用済みのバレルを使う必要はないんだなと。
もっとも、より強いフレーバーをつけたい場合はその限りではないのかもしれないけれど「バレルエイジドコーヒーのようなものを味わってみたい」というくらいなら、ボトルに生豆を入れて寝かす程度でも十分に楽しめることがわかった。
これはこれで手軽だし楽しいので、これからもやってみよう。