我が家のバレルエイジドコーヒープロジェクトも、いよいよ大詰め。
というのも、4月に仕込んだバレルエイジドコーヒーを、ついに焼く。いよいよ焼く。樽にお酒を染みこませること4ヶ月、そこから生豆を入れて熟成させること3ヶ月、約7ヶ月の時を経て、ようやく一応の決着を迎えるというわけ。長かったなぁ〜。
さあ、まずは樽のなかの生豆を出す。
出し方は、樽上部の栓をとり、樽を逆さまにしてシャカシャカと振って出す……という、ほかに手段がないんだから仕方ないと開き直った方法で地道に出していく。
ちなみに樽は明らかに乾燥していて、タガが外れてしまいそう。というか外そうと思ったら簡単に外れそうな“ゆるさ”だったけれど、外すとヤバいことになりそうだから外れないように注意しながら名豆を取り出す。
約10分くらい格闘して、ようやく全部出すことができた(冒頭の写真)。
生豆の様子はというと、意外にも乾燥気味。
そして、予想外にお酒の香りはそこまで強くなくて、鼻を近づけて匂いをかいではじめて「あぁ、香る香る」という程度。そのくらいお酒感は控えめ。
この時点で「あれ、もしかして失敗したか?」と感じてしまう。
ちなみに重量はというと、たしか樽投入時は500gだったはずだけれど、取り出した生豆は、なんと494g! 6グラムも減っている!!
ボトルエイジドコーヒーの場合、ボトル自体が空気を通さないから水分は豆に吸収されるしかなく、結果として生豆の重量が増えたけれど、樽の場合は水分がつねに蒸発していくからか、生豆の水分まで減ってしまった、というところかな。
考えてみれば当たり前なのかもしれないけれど、やってみてはじめて気づいた。そして本当にバレルエイジドコーヒーになっているのかを心配するぼく……。
とりあえず、焼こう。
過去の経験を活かして、ゆっくりと熱を入れていくプロファイルにして、1ハゼ以降の進行に注意しながらフルシティまで火を入れてみた。
焙煎後の豆の香りは、ちゃんとボトルエイジドコーヒーしていて、ちょっと安心。だけれど、猿田彦ほど強くない。前にやったボトルエイジドコーヒーと同じくらいかな? 樽だともっと強くなるかと思っていただけに、ちょっと意外。
そして見た目はイイ感じ。
ボトルエイジドコーヒーを含めて、お酒のフレーバーをつけたコーヒーを焼くのは3回目だけれどコツを掴んだかもしれない(笑)。
さあ、翌日テイスティングだ!
まずは、いつものように前情報なしで、奥様にアイスカフェモカを提供。
奥様「ん? これもしかしてエチオピア?」
ぼく「違うよ。ブラジルだよ」
奥様「え? うそだ」
ぼく「本当だよ」
奥様「……ん? 美味しいかも」
ぼく「ブラジルはブラジルだけど、バレルエイジドのブラジルでした〜」
奥様「ああーー。最初エチオピアかと思った」
と、予想どおりのリアクションをする奥様。しかし、このあとの反応がじつに意外なものだった。
奥様「これ、美味しいよ!」
ぼく「それはよかった」
奥様「いや、本当本当」
と、社交辞令的な賛辞なのかと思ったら、じつはそうではなかったらしく。
奥様「これ、マジ美味しい! 今までのとは全然違う!」
と、かなり興奮してきた奥様。
ぼくもまだこのときは飲んでいないので「そうか、それはありがとう」としか言えず。
しかし奥様の興奮は収まらない。
奥様「えー、これマジ美味しいんだけど。今までつくってくれたラテのなかで、間違いなくトップクラス。カルヴァトスの風味とコーヒーとのバランスがいい! もう1杯飲みたいくらい」
と、すぐに一杯飲み干してしまった(笑)。
カフェラテでここまでテンションが高くなったのは初めてだなぁーと思いつつも自分のカフェラテをつくってみた。ホットで。
おお?
おおおおお!?
こっこれは!!
奥様の言うとおり、カルヴァトスのフルーティーなフレーバーとブラジルのほろ苦さが、高次元でバランスしている。この感じは猿田彦のバレルエイジドコーヒーにもあったけれど、そうか、ブラジルでもイケるんだね。
“お酒”の主張が強すぎず弱すぎずで、しかもカルヴァトス特有なのかな、前回ボトルエイジドでテストしたウィスキーのそれとはだいぶ違う、丸みを感じるフルーティーさがあって、あらゆる意味でボトルエイジドコーヒーよりも一段上の味になっていることに驚く。
自画自賛するつもりはないけれど、コレはたしかに美味しい。
でも、どうして?
生豆の重量が減っていた=生豆に染みこんだお酒の成分は少ない、はずなのに、味は予想に反してふくよかで、カルヴァトス特有のニュアンスが十分に感じられる。しかもコーヒー(ブラジル)とのバランスも良い。うーむ。
生豆の水分が減ったおかげで、生豆に染みこんだカルヴァトスとのバランスがとれた? どうなんだろう。理屈がよくわからないなぁ。
いずれにせよ、ちょっと前までは「ボトルエイジドでいいじゃん? バレルエイジドである必要ないんじゃん?」と思っていたけれど、その考え方が間違っていたのかもしれない、ということに気づかされたのでした。
ボトルエイジド、バレルエイジドともに、引き続きこれからも実験していくつもり。
さて、このバレルエイジド、もちろんドリップでもテイスティングしてみた。アイスだけど。
挽いたときの香り(いわゆるドライってやつ)がメッチャいい。ブラジルなのに、とても上品。ブラジルって、もっと男っぽい感じだけど(勝手なイメージ)、これは気品溢れるマダムって感じ。
飲んでみたら、超絶クリアなのに、鼻からスーッと抜けていくカルヴァトスの香りがとても心地良い。
お酒なのかコーヒーなのかよくわからないくらいのバランスだけれど、これもかなり美味しい。
いやぁ、というわけで自作ボトルエイジドコーヒー、正直ここまで期待していなかったけれど、初回から期待以上となりました。
今回つくったバレルエイジドの生豆は約500g。今回半分ほど焼いたので、もう半分はすぐにまた焼いて楽しむつもり。
そして次なるバレルエイジドコーヒーの計画も画策中。
そのへんの話と、今回やってみてわかった樽の扱いについては、次回で簡単にレポートする予定。
つづく。
※バレルエイジドコーヒー関連リンク集(タイトルに一貫性がないのはご愛敬)