E61エスプレッソマシンあるあるのひとつ。長く使っていると、同じ豆、同じメッシュでもエスプレッソを抽出したあとのケーキ(かす)が水っぽくなっていく、という症状の話。
こうなると、メッシュがおかしいとか粉の量が適正じゃないとか、そういう想像をしがちだけれど、じつはマシンの摩耗によって起きることもある。
これはネット上から拝借してきたE61グループヘッドの構造をあらわしたイラスト。
見ればわかるように、E61グループヘッドはレバーの回転運動をカムによって上下運動にし、ブリューバルブとプリインフュージョンバルブを開閉しているんだけれど、なにぶん金属同士が接触しているので、使っていると、どうしても摩耗してしまう。
で、結論から言うと今回テーマにしている“抽出後のケーキが水っぽい”という症状は、プリインフュージョンバルブの摩耗が原因。
つまり摩耗によってバルブの開度が狭くなり、抽出後の排水効率が落ちてケーキが水っぽくなる、というわけ。
それならバルブ交換を! でもいいんだけど、もっと簡単に改善する方法がある。
プリインフュージョンバルブというのはいくつかのパーツで構成されていて、そのうち摩耗している先端部分はねじ込んであるだけなので、簡単に取り外すことができる。このパーツ表でいうところの460017(LONG PIN)がそれ。
そう、勘の良い人ならもうおわかりだと思うけど、このLONG PINの下に薄めのワッシャーをかましてやればOKなのです。
やり方は簡単。こいつをモンキーなどで外してやると……。
このようにプリインフュージョンバルブが出現。
この写真はすでにワッシャー投入済みだけど、LONG PINを左方向に回してやると簡単に外れるので、ワッシャーを挟めばOK。
ワッシャーの厚さや枚数でバルブの開度を調整できるので(同時にレバーの重さも変わる)、あとは好きに調整する。
うちもこの対処法でしばらく使っているけれど、問題なし。もちろん、“LONG PIN”はどんどん摩耗していくので、いつかは交換が必要になるけれどね。
というわけで、抽出後のケーキがなんだか水っぽくなったり、抽出レバーを押し下げたときの手応えが以前よりも軽いかも? なんて感じたらぜひチェックを。