ホームユースのコーヒー用グラインダーとして最新のトレンドを採り入れつつも、独自設計のコニカル10枚刃によって圧倒的なグラインド性能を誇り、強力なモーターを搭載しながらもコンパクトなボディ設計によってバッテリー駆動にも対応し、屋外での使用をも考慮。しかも価格が4万円台……と、一見すると死角が見当たらないPlusmotion CM10。
注文から約4ヶ月、ようやく手元に届いたので実際に使用してみての簡単なレビューを。
ちなみエスプレッソ用途に限った話なので、そのへん誤解なきよう。
抜群のグラインド性能と“粉残りゼロ”の実力
なにはともあれグラインド性能に文句なし。コーヒーの粉には、いわゆる“ダマ”が全くなくて、サラサラ。
グラインドの目盛りは0〜90まであり、マニュアルにはエスプレッソ用が20〜30とされていたものの、20でも粗すぎたので10前後で良い感じになった。
コニカルは粒の形が球体に近づく関係で、フラット刃のグラインダーと同じ分量だとカサが増し、バスケットに収まりきらなくなる……ので、いつもより少なめの18.5gくらいでドージング。
WDTナシで落としても、満遍なく均一に抽出できた。これはね、抽出後のバスケット裏を見れば一目瞭然なのですよ。
エスプレッソの油分が偏りなくバスケットに付着しているのがわかるけれど、これはなかなかすごいことなんです。
コーヒーの粉が均一でないと、こうはならなくて、これまで使ってきたQuamar M80Eの場合だと、WDTをしっかり行わないとこのレベルにはならない(泣)。
バスケットのコーヒーが不均一だったりチャネリングを起こしたりして抽出に偏りが出ると、抽出が早い部分ほどバスケット裏の油分の付着が少なくなるので、すぐにわかるのです。
あ、ちなみにこのくらい跡が残るようにするには抽出速度をゆっくりにする必要があって、世間一般的に言われているような20秒前後で1ozの抽出だと、ここまでハッキリと跡が残らないことが多い。
ぼくはリストレットで抽出したいので意図的に抽出速度を遅くしているけれど。
そして順番が前後して申し訳ないけれど、このグラインダーの驚くべき性能が、粉残りの少なさ。
左は豆の量、右はグラインド後のパウダーの量なんだけど、なんと同じ!
Quamar M80Eでは考えられない(笑)。
この時点で、CM10すげえと思ってしまうのでした。
もちろん、多少すくなくなることもあるけれど、マグネットで止まっている抽出口を指で弾いてやれば落ちてくる。とにかく粉残りが限りなくゼロなのはすごい。
CM10 の気になるところ。性能は文句ないけれど……!?
基本性能は文句なし。上では触れていないけれど動作音も小さくて、ドリップコーヒー用途なら全く問題ナシ!
なんだけれど、エスプレッソ用途としてみると、なかなか厳しい側面があった。
結論から言うと、せっかく買ったCM10だけれど、エスプレッソ用グラインダーとしてQuamar M80EからCM10に置き換えないことにした。
その理由は、以下のふたつ。
ホッパーに豆を入れにくい
エスプレッソ(カフェラテ)って、ひとりぶんの豆の量がそこそこ多いんですよ。うちの場合は、今までの例だと19〜20g前後なんだけれど、それだけの豆をホッパーに入れようとすると、容器を選ばないと片手で完結しない。
豆がこぼれないように、片手で壁をつくりながら、もう片方の手で、そっとホッパーに入れる、という動作が必要。つまり両手を使わざるを得ないので、これが地味に面倒。
これに関しては、CM10に限らず最近のシングルドーズグラインダー全般に言えそうなので、「ああ、この手のグラインダーはそうなんだね」とあらためて認識した次第。ぼくには向いていないことがわかった。
もうちょっと上部が広がったホッパーがついていたら、だいぶマシになりそうだけどなぁ。
とりあえずぼくは片手でザーッと豆を入れたい派です(笑)。
グラインドスピードが遅い……
これが決定打なんだけれど、エスプレッソ用途だとメッシュを細くしなければならない関係で、どうしてもグラインドスピードが遅くなる。これはわかっていたことなんだけれど、それにしてもCM10は遅かった。
なんと、ひとりぶん約20gの豆をすべてグラインドし終えるまでの時間、約50秒(泣)。
50秒か……。
オペレーションの工夫次第では目をつぶれない時間じゃないかもしれないけれど、これまで使っていたM80Eは数秒(7〜8秒くらい)だったことを考えると、めちゃくちゃ長く感じる。
コニカルだから遅くなることは予想していたものの、想像以上だった。それにしても以前使っていたコニカル(ascaso)もここまで遅かったかというと覚えていないので、なんとも言えず。
ひとつ言えることは、グラインドスピードって大事なんだな、ということ(笑)。
お店じゃないんだし、別に遅くてもいいじゃんと思っていたつもりだったけれど、ここまで歴然と差があると、さすがに戸惑いを隠せない。
ブレードの回転数を上げると熱を持つし、サイズを大きくすれば価格と本体サイズに直結するし、難しいね、このへん。
個人的には10万円を超えてもいいので、もうちょっとブレードのサイズを大きくしてグラインドスピードを向上させたモデルがあったらいいなー、なんて。業務用のコニカル、例えばMazzer KONYとか速度どうなんだろうか? ちょっと興味ある。
とりあえず、この一杯あたり50秒という時間を体験した途端、「あ……これは厳しい」と思ったのでした。
そんなわけで、性能的にはエスプレッソ用途でも全く問題ないものの、オペレーションを考えると、いささかツライ部分が見えてきたCM10。
個人的には、やっぱり気になるのはグラインドスピードかなぁ。
ホームユースであれば普通なのかもしれないけれど、業務用グラインダーの速度に慣れてしまうと、だいぶつらい。というか、速度がここまで気になるとは自分でも思っていなかったので、新しい発見ともいえるけれどね。
せっかく買ったCM10、じゃあどうするのか? というと、考え中(笑)。
ドリップ用に使うのがベストかもしれないけれど、置き場がないし、いちいち引っ張り出してセッティングするのは面倒だし、そもそもTimeMoreの手回しで満足しているという事実もあり、悩ましい。
もうちょっと考えよう。
というわけで、引き続きM80Eのお世話になります。刃をそろそろ交換しようかな。