下北沢の「BEAR POND ESPRESSO」。東京に行ったときは、そのためだけにわざわざ渋谷から足を伸ばすくらいファンなのだけれど、たまたま見つけた、そんな“BEAR PONDな本”。新装版ってことで、初版は2011年に発売されていたみたい。知らなかった。
どういう本なのかというと、「BEAR POND ESPRESSO」開店までの道のり、そしてオーナーである田中さん自らの人生を綴ったエッセイ。
田中さんの経歴はいろいろなメディアで報じられていたりもするので、わりと知っていたものの、それでもあらためてご本人の語り口で展開される物語は、それはリアリティがあって面白く、一気に読み終えてしまったほど。
とりわけ、エスプレッソに対する熱量がすごい。
でも、それはお店で実際に飲んでみれば、すべてに合点がいく。そこまで情熱を注いできたからこそできた味なのだ、ということがわかる。
そして、人生、いろいろな“縁”があるものだなぁ、と。
で、この本を読んで、あらためて感じたことといえば、ぼくが理想とするカフェラテ(エスプレッソ)の味というのは、おそらくはダークチョコレート系であり、それはかつてのニューヨークスタイルなのだ、ということ。
アメリカって西海岸とラスベガスくらいしか行ったことがないので、東海岸、ニューヨークのエスプレッソが今もなお同じ傾向かどうかはわからないけれど、やっぱり一度行ってみたいなーと。
田中さんというか「BEAR POND ESPRESSO」について言うと、とりわけ昨今のSCAAが提唱するコーヒーの価値観(酸がどうのこうのっていうアレ)にとらわれることなく“我が道を行く”スタイルはとても好感が持てるし、小さな駄菓子屋を改装した飾らないお店が世界中からファンを呼んでいることも事実で、日本だけにとどまらず、いろいろな意味で世界のコーヒーカルチャーに影響を与えている店だと思う。
技術やスタイルはもちろんだけれど、なかでもシグネチャーブレンドの“Flower Child”は、本当に素晴らしいから。
焙煎なのか生豆の問題なのか、タイミングによって良いときと悪いときがあるけれど(泣)、良いときのこの豆のパワーはホントにすごい。
……と、書いているとまた飲みたくなった(笑)。通販やってないから、お店に行って買うしかないのが歯がゆいなあ。