nine.ten coffee weblog

おうちカフェ「nine.ten coffee」のブログです。今のところ単なる趣味です。

昔話9。アウベルクラフトの焙煎機を買う

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「本格コーヒー焙煎生豆キット」で自家焙煎の味をしめてしまったぼくは、次なるステップを求めて焙煎機選びに熱心だった。電気式を含め、あれこれ検討するも、どれもこれも高い! 加えて、サイズがデカい! 電気式は火力やら故障が心配なので、最もシンプルかつ安価で評判が良かった「アウベルクラフト遠赤コーヒー焙煎キット」に決めた。

 

火力も時間も、まったく手探りの状態からスタート。100gの豆を入れて説明書どおりに中火固定で焼き始め、1ハゼを迎え、そのまま2ハゼに差し掛かった瞬間に煎りどめる、みたいな感じで焙煎したら……苦い……。

 

どうして苦いんだろう? そんなに深く焼いていないのに……。と、しばらく悩み、ふと思いつく。もしかして、火力が強かった? と、火力を少し弱めて焼いてみたら、同じ豆とは思えないほど味がまろやかになり、嫌な苦味が消えた。そうか、同じ深さにローストしても、そこに至る火力と時間でこんなに味が変わるのか、って。そんな具合で、失敗したらその原因を推測しては対策を練り、再度実験……を繰り返しながら、少しずつ「焙煎のイロハ」を学んでいった。

 

アウベルの焙煎機は生豆を入れて中火でグルグルと回すだけなので、焙煎自体はとても楽ちん。2ハゼが始まったところを煎りあげの目安にしていたので、それなりに安定して焙煎を楽しめていた。ところが、肌寒くなってきた12月、転機は訪れる。いつものように焼いていたのに、どうも失敗してしまう。味が抜けるのだ。コクがなく、コーヒー感も薄く、美味しくない。なんでだ?

 

コーヒー焙煎についていろいろと調べていたとき「温度や湿度に影響されるほどデリケートである」とよく言われていたことを思い出し、なるほど、こういうことかと悟る。でも、どうすれば良いのかわからず、良い対策を思いつかないまま、失敗豆を量産してしまっていた。

 

味が抜ける原因でよく言われているのが、火力が強すぎると抜けますよ、ダンパーを開きすぎると抜けますよ、というものがある。だけれど、それらは主に業務用焙煎機での話。アウベルの場合は構造的に手網に近い。ならば手網焙煎に関するノウハウを勉強しよう、ということで、あれこれ調べていくと……手網はそもそも味が抜けやすいものの、アルミ箔等でカバーしてあげるとコクが引き出せる、そんな情報を得た。

 

なるほど。カバーか。

 

たしかにアウベルにはカバーがない。風防のようなものはあるけれど、豆を焼くシリンダーにはまるでカバーがない。気温が下がったことで味が抜けることと、カバーをつけることはあまり関連がないような気もするけれど、とりあえず前進したいので焙煎機全体を覆うカバーを即席でつくった。材料はダイソーで販売している厚さ0.3mmのアルミ板。困ったことに粘着剤が貼られているので、それをステッカー剥がしでキレイにして利用するという、今考えたら材料費をケチるあまり、ずいぶんと遠回りしてしまったなぁ、と反省。

 

アルミ板をカットして穴を開けて、アルミテープで貼り付けるという、なかなかの適当さだったが、一応のカバーをつくり、焙煎を試みるも、これがことごとくうまくいかず。

 

カバーのなかの煙を逃がすために穴を開け、タイミングによって開閉、あるいは開け具合を試行錯誤してみるも、いっこうに美味しく焼ける気配がなく、これまた失敗豆を量産し続けてしまった。ちなみにこのカバーは、すでに処分しているために写真なし。

 

それからというもの、火力も、豆の量も、回転数も、ついでに赤外線ネット取り外しや、シリンダー自体にアルミ板を取り付けたりと、本当にあれこれ試したけれど、うまくいかない。もう、何が悪いのかわからない。そんな状態。

 

そんなときに、ふと思った。そもそも温度がわからないのだから、これ以上対策のしようがないんじゃないか、と。

 

これは業務用焙煎機の話ではあるにせよ、だいたい世の中、コーヒー焙煎の話になると何度で豆を入れて中点を何度にして、1分間に何度の上昇率を保って1ハゼが何度で……という具合で温度で語られることがほどんど。にもかかわらず、ぼくときたら、温度もわからない状況でもがいている。手網ですら温度計を装備したものがあるのに。

 

よし、温度計を買おう! と、意気込むも、アウベルの焙煎機は構造上、温度センサーをつけられないので、仕方がなく赤外線温度計を導入してみたけれど、薄々予想していたもののうまく計測できず、お手上げ状態に……。

 

寒くなるまでは美味しく焼けていたから、これはきっと焙煎機のせいじゃない。それはわかっているのだけど、ほかの焙煎機はどうなんだろう? と思い始めてしまうのだった。そう、同じ豆をほかの焙煎機でローストすれば、違った結果になるんじゃないか? いや、なるよなぁ……なんてふうに。

 

さあ、お手頃な別の焙煎機、ないかなぁ……焙煎機選びがふたたび始まった。

 

あ、そうそう。写真のキットが茶色く変色している理由は、カバーのせい。

 

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