明けて2日目。今日の目的は、とある場所へ向かうこと。
その場所とは……江陵(カンヌン)!
日本語読みすると“こうりょう”になるけれど、カンヌンと読む。
カンヌンは韓国の北東に位置する地方都市で、平昌オリンピックの氷上競技の開催地にもなっている場所。どうしてそこへ行こうとしているかというと、カンヌンはオリンピック云々の前に“コーヒーの街”として知られているから。
DAY1で行った「TERAROSA COFFEE」の本店もあり、Anmok Beach(アンモクビーチ)沿いに伸びる“カンヌン コーヒーストリート”には多くのコーヒーショップが軒を連ね、今や街を代表する観光地に発展。毎年秋にはコーヒーフェスティバルも開催されるなど、とにかくコーヒーで盛り上がっている街、というわけ。
となると、コーヒー好きとしては、やっぱり行ってみたいよね、と。
というわけで、いざ、カンヌンへ!
カンヌンまでどうやって行くか?
コーヒーパラダイス、カンヌン。
だけれど、じつは釜山からはとても遠い。どれくらい遠いかというと、下のマップを見れば、なんとなく想像できるはず。
A地点が釜山、B地点がカンヌン。
直線距離でいうと東京から新潟くらいなのだけれど、見てのとおり、韓国の東側は山ばかりだからか、交通網がほぼない……。信じられないけれど、本当にないのだ。
どうやって行くか? 選択肢はふたつ。
■直行高速バス
釜山からカンヌンまでの直行バスがある。乗車時間は約6時間……。
【片道料金】
33500ウォン
■KTX+バス
韓国版新幹線KTXに乗ってマップC地点の太田(テジョン)まで行き、そこから高速バスでカンヌンまで行く方法。この場合、KTX乗車時間が約2時間、バスが約3時間で、合計約5時間、乗り換え等も考えると、おそらくトータルの時間は直行バスと大差ない。
【片道料金】
KTX:28900ウォン
バス:16800ウォン
圧倒的に安いのは直行の高速バス。だけれど、6時間乗りっぱなしはさすがにキツいので、KTX+バスにすることに決定。
……では、あらためて、いざ、カンヌンへ!
↑早朝のプジョン駅。KTXの時間に間に合うように、まずは朝食を食べに行くことに。向かったのは……。
↑ソミョン駅そばにあるデジクッパ屋さん。デジとは豚のこと。要するに豚骨のクッパ。このあたりには昔からデジクッパ屋が集まっていて、しかも24時間営業しているらしい。
↑これがデジクッパ。まったく臭みなし。しかも、あっさりしているのにコクがあって、とても美味しい。朝食には最高かも。豚骨ベースのクッパは釜山の名物なんだとか。福岡の豚骨ラーメンみたいなノリかな。
↑歴史があるお店だからかメディアの取材もたくさん受けているようで、そのときの張り紙がたくさん。
↑デジクッパ屋の向かいに靴下屋があり、物色していると「1000ウォン!1000ウォン!」と店のおやっさん。つまり一足100円ほど。安いのでお土産用にお買い上げ。
↑はじめてのKTX。まず思ったのが、車両とホームの間がひろっ! ということ。油断すると落ちそう。でも、昔の新幹線ってこうだったような記憶も……。
↑というわけでKTXで太田(テジョン)へと向かう。車内にはフリーWiFiもあり、速度は下り1M強、上り1M弱。ちなみに全席指定で新幹線のように自由席はない。
↑テジョン到着〜。バスの時間まで少し余裕があるので、なにか食べようということに。
■聖心堂(ソンシムダン)
ぼくらが入ったのはテジョン駅構内にある有名なパン屋「聖心堂(ソンシムダン)」。
創業1956年という歴史あるパン屋で、なかでもコロッケが有名らしい。だけれど、ぼくらが行ったときにはコロッケは売り切れだったので、素直にパンを買ってイートイン。
テジョン駅構内のほかに2店舗あるようで、人気のパンは一瞬で売り切れるほどなんだとか。
↑日本とは少し違うラインナップだけれど、パンの種類はとても豊富。しかもひとつひとつが大きい。
↑クロワッサンマニアなぼくはクロワッサンをチョイス。生地の味は良いけれど、焼き上がって時間が経っているのか食感がやや硬め。もう少し軽いといいなぁ。
↑本日1ラテ目。
↑パン屋兼カフェ的なお店で、カフェのほうには2グループのエスプレッソマシンも。写真には写っていないけれど、座席が列車の座席風になっているのもおもしろい。
↑テジョンのバスターミナル。駅からそれなりに離れているのでタクシーで向かう。
↑けっこう広いチケット売り場。主に市外バスと高速バスの二系統ある。
↑バス待ち。お店もたくさんあり時間潰しも苦にならない。
↑いよいよこの左のバスに乗車。座席は3列シートで広々快適〜。
↑乗車したら、あとは高速をひた走る。たまに道路工事の渋滞にハマるも、それ以外はわりとスムーズ。韓国のクルマは7割がヒュンダイ、2割がキア、1割その他な印象。
↑フェンソンという地区でトイレ休憩。日本のサービスエリアとあんまり変わらないけれど、やっぱり微妙に雰囲気が違う。カンヌンまではあと1時間くらいかな。
↑午後3時過ぎ、ようやくカンヌン入り。街はオリンピックで盛り上がっている感じ。
↑カンヌンのバスセンター。ついに来たぞ〜。ここからタクシーで安木(アンモク)ビーチへと向かう。
↑釜山から5時間強、ついに、アンモクビーチ、というかコーヒーストリートに到着! 長かった。左手はコーヒーショップ、右手はビーチというナイスなロケーション。道沿いに駐車場があってクルマが多いのはご愛敬。
↑さっそくホテルにチェックイン。本日のホテルはHotel Herren-Haus(ホテル ヘレンハウス)。コーヒーストリート沿いという、これまた最高のロケーションにある。
↑お部屋はダブルベッド+シングルベッド。窓からは海が一望できる。天気が良かったら最高なんだけどな〜。
↑なんでもオーナーがデザイン系の学校を卒業しているとかで、インテリアが良い感じ。女子ウケしそう。
↑バストイレ周りも清潔感があって使いやすい。シャワートイレもありました。
無事、カンヌンに到着しホテルにチェックインしたら、あとはコーヒーショップ巡りに出発! フロントでタクシーを呼んでもらって、向かうは「ボヘミアン」!
タクシー車内で運転手さん「このあたりはカフェが多いでしょう? 昔はコーヒーの自動販売機が多かったんですよ。だからこんなにコーヒー店ができたのかな。ボヘミアンもいいけれど、僕にとっては、あの自動販売機で飲むコーヒーが最高ですね。ハハハハ」
なるほど、コーヒーの自販機がコーヒーの街のきっかけになった説か。あながち間違っていないのかも。
そんな話を聞きながら、タクシーで10分ほどで最初の目的地に到着〜。
■BOHEMIAN ボヘミアン
韓国に日本式ともいえるドリップコーヒーを広め、同国を代表するバリスタとされるパク・イチュ氏が経営する「ボヘミアン」。
氏は日本に生まれ、日本でコーヒーを勉強したのち、帰化して韓国へ。当初はソウルでカフェを経営するも、都会が肌に合わず、美しい自然が広がるこの地、カンヌンで「ボヘミアン」をオープンさせたのだとか。
自家焙煎による新鮮な豆を使い、ペーパードリップでていねいに淹れるコク豊かなコーヒーは瞬く間に話題となり、今ではカンヌンで3店舗を経営する傍ら、若手育成にも力を入れている。
そんな、カンヌンをコーヒーの街にしたキーパーソン、パク氏のお店があるというからには、これはもう行かないわけにいかないわけで。
本当は本店に行って氏とお話してみたかったけれど(日本語もペラペラだそう)、場所的にわかりにくそうだったので、今回は最も規模が大きい「BOHEMIAN ROASTERS」へ。
Welcome to Bohemian coffee -since 1988-
↑いよいよ入るぞ〜。
↑ラマゾッコのマシンとMAZZERのグラインダーが鎮座する1F。だけれど「注文は2Fで〜」と言われたので、2Fへ上がる。
↑グッズもいろいろ。左上の人形はきっとオリンピックのキャラクター。カンヌンの街でよく見る。
↑店の奥の部屋には富士ローヤルの5Kg?焙煎機が。 富士ローヤルを置くという時点で日本で焙煎を勉強された片鱗が伺える。やっぱりドラムは直火だったりするのかな。
↑ドリップのお店だと思ってきたものの、下にエスプレッソマシンがあったのでカフェラテを探すも見つからず……。ハウスブレンドのドリップとカプチーノ(これは一応あった)、アフォガートを注文。
↑ものすごく上品なハウスブレンド。とにかく飲みやすい。ちなみにコーヒーはペーパードリップでした。
↑アフォガートとカプチーノ。アフォガートはいいとして、カプチーノがマグになみなみと入ってきたので、ちょっと驚く。そしてシナモンの香りが……。なるほど。カプチーノに口をつけてみると……あれ? 冷たい。ホットのはずなんだけれどな。
ホットを頼んだはずが、冷たいカプチーノだったことに衝撃を受けたので、もともとこういうものなのかを奥様に尋ねてもらった。
店員さん「うーん、もしかするとスチーミングのときに温度が低かったのかもしれません」
ぼく「(それはスチーミングしていれば、わかることなんじゃ……)」
店員さん「つくりなおしましょうか?」
ぼく「いえいえ、大丈夫ですよ。こういうものなのかを聞きたかっただけなので」
店員さん「いえ、きっと温度が低かったんだと思います。すみません! つくりなおしますね」
という趣旨の会話をしたのち、アルバイトと思わしき店員さんに再度カプチーノをつくってもらうことに。そんなつもりじゃなかったのになぁ、と、申し訳ない気持ちで新しいカプチーノを待つ。
数分後、今度は自信ありげな表情で新しいカプチーノ到着。
飲んでみる。
……同じでした(泣)。
でも原因がわかった。これね、きっとマグが冷たいままカプチーノをつくっているからなんだと思う。カプチーノそのものはたしかに温かい。だけれど、口をつけた瞬間は冷たく感じてしまう。
というわけで、マグは温めたほうがいいので温めてください>アルバイトの人。
コーヒーの場合も同様だけれど、カップは温めるべき。ぼくですら家でコーヒーやカフェラテをつくるときは必ず温めているからね。
……と、カプチーノ事件でちょっとガッカリしてしまったけれど、ドリップは美味しいことがわかったので、追加でモカマタリを注文。
↑モカマタリ、さすがに美味しい。嫌みのない芳醇なモカフレーバーに、エチオピアのモカフレーバーが苦手な奥様も太鼓判。ボヘミアン、コーヒーに関しては間違いない感じ。
結局「ボヘミアン」ではカフェラテはいただけなかったものの、EspressoBlendが売られていたのでコーヒー豆200gを買い、店員さんにタクシーを呼んでもらって、そのまま夕食へ。
この日の夕食は韓国らしく、焼肉!
↑カンヌンでいちばんウマイと言われている(?)焼肉店「プンニョンカルビ」。住所は、강원도 강릉시 포남동 1194-10(GoogleMapコピペ用)。コーヒーストリートからタクシーで5分ほどの場所。
↑注文から1分足らずでこの状態に。早い! 付け合わせが大量に出てくるのがいかにも韓国。
↑豚のカルビを炭火で焼くスタイル。これがまたウマイんだ。このお店オススメ。
↑ビビン麺。辛くてこれまた美味しい。
大満腹になったぼくたちは、ふたたびタクシーでコーヒーストリートへ。
↑夜のコーヒーストリート。ライトアップされて、とてもきれい。
↑ライトアップもオリンピック寄りに。このキャラ、いい味出してるなぁ。
焼肉でお腹いっぱいなのに、せっかくカフェがたくさんあるから、デザートを食べようということに(笑)。
そこで向かったのが、ココ。
■L.Bean
コーヒーストリートのなかでもゴージャスな外観のこちらは、手作りケーキ、なかでもタルトが評判の店。
しかしなぜかオフィシャルサイトが見つからず、店の概要が謎に包まれているものの、「L.Bean」はおそらくカンヌンのこのお店一軒のみと思われる。
コーヒーにもこだわりがあるようで、豆は自家焙煎。店内1Fにギーセンの焙煎機が備えてあり、そこで焙煎しているらしい。
奥様がホットを注文したつもりでアイスを注文してしまい、完全にこちらに非があるにも関わらず「あ〜、間違えた〜」というリアクションをしたら「ホットすぐできますから、つくりますよ」と店長さん。めちゃ親切。ありがとうございます。
↑カウンターにはラマゾッコのマシンが。この写真ではわかりにくいけれど、奥にギーセンの焙煎機も置いてあり、ココでコーヒーをローストしているのだとか。
↑タルトをはじめ、ケーキの種類も豊富。ここはオーソドックスにイチゴのショートをセレクト。
↑本日2ラテ目。ラテの味は普通だけれど、ケーキが美味しかった。コーヒーストリートで甘いものを食べるならココがおすすめ。
↑まだだ。まだ終わらんよ。ダメ押しでさらにもう一件ハシゴすることに(笑)。
向かったのは……ココだ!
■SANTORINI
2011年3月に創業、数々のコンテストで入賞経験を持ち、コーヒーストリートのなかでも実力派として知られる「SANTORINI」。現在、カンヌンに2店舗を構えている。
店名から想像できるように、ギリシャのサントリーニ島の建物をイメージした白い外観が特徴(写真は夜だからわかりにくいけれど)で、海を眺められるテラス席はとくに人気なのだとか。
実力派らしく、豆、焙煎、抽出、すべてのプロセスにこだわっており、豆はすべてスペシャルティ。ローストもお店の3Fでていねいに焙煎されている(焙煎機はPROBAT)。
コーヒーだけでなく、ジェラートや焼き菓子なども評判が高い。
http://www.santorinicoffee.co.kr
↑1Fで注文し、商品を受け取って席につく一般的なスタイル。夜だからか、客はぼくたちだけだった。
↑誇らしげに飾られている各種賞状。実力派である証。
↑あまり残っていないけれど、焼き菓子も豊富で味にも定評がある。
↑2F。店内は広々。3Fにも座席があり、さらにガラス張りのロースティングルームがある模様(今回は行っていない)。
↑スワンきました。韓国初スワン。味も抜群。ぼくはかろうじて「TERAROSA」のほうが好みだったけれど、奥様は「SANTORINI」がいちばんだと。たしかに甲乙つけがたいな〜。
↑コーヒー関連の器具も販売している。テレビに映っている映像が、なぜか日本の、しかも他店のものだったのが少し気になる(もしかして関係ある?)。
……というわけで、DAY2終了。
焼肉からのたたみかけるようなカフェのハシゴが少々堪えたものの(おなか的に)、じつに楽しい1日でした。
明日は早くも釜山へ戻ります。が、まだまだ行きたいお店が残っている……。果たして、目的のお店は制覇できるのか!?
つづく。
↑オマケ。コーヒーストリートにあったガチャガチャ屋。全部日本のやん……。