今使っているエスプレッソマシンが、このRocket Giotto Evoluzione。
はやいもので、もう5年目。ほぼ毎日稼働して今のところノントラブルなものの、このロットは外れ機体のようでポンプの音がうるさい。というか、初期ロットはそうらしい。初めは静かだった気がするのだけれど、だんだん作動音が大きくなって、今ではけっこうな音がする。ロータリーポンプのくせに。
予備のポンプ(Fluid-O-tech CA054)と圧力計は既に入手しているので、今度余裕があるときにでも交換してみるつもり。ちなみにGiotto Evoluzioneの現行モデルはV2という後期型で、配管等が見直されてモーターとボイラーのクリアランスが広くなっているらしい。
Giottoは、いわゆるセミコマーシャル機というグレードで、小規模な店舗での業務使用にも耐えうる設計になっている。電源入れっぱなしでも大丈夫なように、ボディがオールステンレスだったり(フレームは鉄だけど)。だから、それなりに高価だけど耐久性は抜群に良いのだ。ちなみに約2000ドル。
家で使うコーヒーの機械に約20万も出すなんて、ちょっとイカレているよ! なんて思った人は正常。まぁでも、エスプレッソやカフェラテが大好きな人間にとっては、このクラスのマシンはいずれ必ず欲しくなるのも事実。かくいうぼくも、3台目がこれだから。
さて、セミコマーシャルマシンが家庭用マシンに比べて何が良いのかというと……
- 温度が安定している
- スチーミングと抽出を同時に行える
- スチームにパワーと持続性がある
- パーツが高耐久
あたりが特徴的。これらメリットを少し掘り下げてみると……。
温度が安定している
読んで字の如く、抽出中の湯温が安定している、ということ。エスプレッソマシンは抽出中、最初は温度が高くても、徐々に温度が下がっていく傾向にある。エスプレッソの味を安定させるには湯温はなるべく変動しないことが望ましいとされているので、ボイラーの容量を大きくしたり、電子的に温度制御を行うPIDなどが搭載されていたりする。
Giottoは前者で、ボイラー容量はそれなりに大きい1.8リッター。加熱したボイラーのなかに抽出用の水を通すことで瞬時にお湯にする、熱交換器式(HeatExchanger。略称HX)になっている。PIDはナシ。
スチーミングと抽出を同時に行える
家庭用で普通に売られているマシンは、ひとつのボイラーを抽出とスチームで使うシングルボイラー機と呼ばれる類のもの。この場合、先に抽出を行うとスチーム用にボイラーをさらに加熱させなければならなかったり、先にスチーミングすると抽出用にボイラーの温度を下げる、という工程が必ず必要になるので、どうしても時間がかかってしまう。
その点、HX機はボイラーのなかに水を通すだけだから、スチーミングをしながら抽出も行うことができる。同時にできるというだけで、本当は同時にはやることはあんまりないと思うけれど。
ちなみにHX機のほかにもボイラーが抽出用、スチーム用とふたつ備わっているダブルボイラー機もあり、今は大半の業務用がそれ。セミコマーシャルマシンでも最近は多くなっていて、だいたいダブルボイラー機には温度調節のためのPIDが備わっている。1度単位で湯温が設定できるのは魅力的ながら、ヒーターがふたつ必要な関係で、電流量が定格最大容量と言われる15Aを超えてしまうために、フルパワーの20Aモードを使う場合は専用の電源を引くか、あるいはパワーを抑えた15Aモードを使うかの、ひたつにひとつになってしまうという諸刃の剣的要素もある。
スチームにパワーと持続性がある
カフェラテやカプチーノをよくつくるなら、スチームのパワーがとても重要になる。つまり蒸気を噴出する力。これはボイラーサイズに比例すると考えて良く、ボイラーが大きい機種ほどパワーと持続性は上がる。厳密にいうとパワーはボイラーの温度設定なんだけれど、まぁ、それはおいておいて。
ちなみに今の設定だと、カフェラテ用ミルクひとり分を60度弱までスチーミングするのに、だいたい17〜8秒。そんなに早くもないけれど、遅くもない。パワーがないと時間がかかるし、ミルクピッチャーのなかで対流が起きないから、きめ細かいシルキーなミルクをつくるのが難しくなる。
パーツが高耐久
これはもう、そのまんま。だけど、金属だからとても丈夫。強いて言えば消耗品などもあるけれど、ヘッドガスケットですら1回交換したのみ。機械いじりが好きな人なら、仮にどこかが壊れても構造が複雑ではないので部品さえ入手できれば自分で修理することもできる。
じゃあ、逆にセミコマーシャルマシンのデメリットはなんなのか、というと、こんなことが挙げられる。
- ウォームアップに時間がかかる
- 定期的なメンテナンスが必要
- 高価
順番に見ていこう。
ウォームアップに時間がかかる
じつはエスプレッソマシンは、電源を入れてすぐには使えない。温める時間、つまりウォームアップが必要なんだけれど、セミコマーシャルマシンは保温性は高いぶん、暖まりにくい。だから最低でも15分以上はウォームアップにとりたいところ。その場合、パワーオンして使えるようになるのは15分後から、ということになる。
朝の慌ただしい時間でそれをやるのは億劫だ、という人が大半だろう。だけれど、起きてすぐに電源を入れておけば、だいたい朝食を食べ終わる頃にはウォームアップは完了しているはず。
ちなみに、ウォームアップが十分か不十分かは抽出レバーの重さでわかる。マシンのウォームアップが足りない場合は、レバーが重く、十分に暖まっているとレバーが軽い。どうしてかはわからないけれど、E61のレバー式マシンを使っている人なら、わかってくれるはず。
定期的なメンテナンスが必要
これはどんなマシンでもそうなのだけど、セミコマーシャルマシンはとくに、という話。セミコマーシャルマシンには、抽出時にポルタフィルターにかかっている圧力を瞬時に逃がすためのとおり道があり、そこがコーヒーの粉などでとても汚れてしまう。だから、そこを定期的に薬品で掃除してあげる必要があるというわけ。
このあたりがわかりやすいかな。うちもCAFIZAを使っていて、クリーニングの頻度は週一で行っている。
メンテナンスはほかにもあって、薬品を使ったクリーニング以外にも毎回抽出後にお湯だけで行うバックフラッシュだとか、ヘッドガスケットがヘタってきたら交換するとか、E61のレバータイプのマシンだと内部のグリスアップするだとか、硬度が高い水を使っている場合はマシン内部のスケールを除去するデスケーリングなど、本当にいろいろある。
メンテナンス自体は難しいものではないけれど、それでもできる人、できない人、いると思うので、購入を考えている人がいたら、そのあたりも考慮したほうが良さそう。
高価
なんといっても高価。しかも、そのへんの家電量販店には売っていないというところで、相当ハードルも高い。実際に見て触って店員さんに聞いて……なんてことができないから。
ではどこで売っているのか。それは、国内の輸入代理店、もしくは海外のショップから個人輸入、ということになる(ぼくは後者の個人輸入で買った)……のだけど、同じ機種でも国内の代理店から買うと1.5〜2倍程度の値段になってしまうことがほとんど。正直、びっくりするくらい値上がることが多い。とはいえ、これは輸入コストに加えて、国内でのアフターサポート、つまり安心料を含んだ値段だと思うしかない。実際そうだけど。
何かトラブルがあったときに自分で対処できない&自信がない人は、迷わず国内で買うべきだろうし、少しでも安く買いたい&自分でなんとかする、という人は個人輸入がおすすめかな。
いくつか有名どころを紹介。
国内
海外
Best Espresso Machines - Coffee Makers - Grinders - Roasters - 1st-line Equipment, LLC
Espresso Machines | Espresso Machine Reviews | Seattle Coffee Gear
Best Espresso Machine & Parts | Your Local Coffee Roaster
iDrinkCoffee.com - Espresso Machines and Coffee Makers Canada
最後に、Giotto の良いところ
これまではセミコマーシャルという切り口で良いところ、悪いところを紹介してきたけれど、最後にGiottoについてちょっとだけ。
どうしてGiottoを選んだのかというと、Rocketの前身であるECM時代からボディデザインが好きだったり、ロータリーポンプ搭載機ということだったり、ボイラー圧と抽出圧がわかったり&調整できたり、タンクだけでなく水道管直結もできたりと、まぁ、そんなところ。
ただ、今となってはGiottoのアイデンティティはボディデザインかなぁ。それ以外はだいたいほかのマシンにもあるものだから。
宝くじでも当たって次に買い換えるとしたら、今度はR60Vか、思い切ってLa MarzoccoのLinea miniかな、と思う一方で、やはり最大電流の問題で15Aモードしか使えないなら今のHXのままでもいいのかも……なんて。