58mmの一般的なタンパーだとサイドチャネリングが起きやすいので、バスケットのキワの部分までタンプできる大径ベースのタンパーを使ってみたい……というところで購入したPullman BigStepタンパー。
しばらく使ってみたので感想を。
キワキワまでタンプできるので気持ちいい
これはもう想定どおり。
一般的な58mmタンパーだと、タンプしたときにバスケット内の壁際に粉が残ってしまうけれど、BigStepだと残らない。きれいに、一撃で決まる。これは気持ちいい。
サイドチャネリング、起きないわけではない
キワキワまでタンプできるので、間違いなくサイドチャネリング発生率は低下した。ただ、起きないわけじゃない、ということもわかった。
WDT的な“かき混ぜ”をていねいにやるとさらに低下するけれど「起きるときには起きる」、これが現実だった。うーん。
バスタブ型かつリッジレスなバスケットならベスト
ぼくが普段使っているIMSのフィルターバスケットは、バスケットのボトム部分にテーパーがついているタイプ。つまり、バスケットの下に行くほど絞られているのだけれど、おそらくこのせいで、タンパーを入れたときに、ほんの僅かながらタンパーベースとバスケットが擦れる抵抗を感じる。ほんの少しだけね。
だからといって不具合があるわけでもく、問題なく使えるのだけど、普通のタンパーにはない抵抗なので気になる人は気になるかもしれない。
VSTやIMSのテーパーがついていないバスタブタイプのバスケットなら無抵抗でスッと入るから(一応試した)、間違いなくバスタブ型のバスケットのほうが向いていると思う。
あと、さらに言えばバスケット固定用スプリングの溝がない、リッジレスがベスト。
リッジなバスケットだと、溝の部分にタンパーベースのステップの角が引っかかって抵抗を感じることがあるから。まぁ、斜めに入れなきゃ良いことなんだけどね。
指への負担は小さいけれど、フラットを感じにくい?
BigStepに限らず、Pullmanのタンパーベースは上部がラバーになっている。
これは一日に何十回、何百回とタンピングするプロのバリスタのことを考えてのことで、このラバーのおかげで指がとても楽。使ってみて「あぁ、これいいかも」と思ったポイント。
もうひとつ、指への負担軽減のための設計と思われるのが、タンパーベース上部からハンドルにかけての角度。一般的なタンパーよりも角度がついていて、指への負荷を小さくすることに貢献している。
ただその一方で、個人的には、これらふたつの影響か、ほかのタンパーよりもフラットを感じにくい気がするのも事実。悲しいかな、フラットにタンピングしたつもりが、じつはバスケット内で斜めになっていた、ということが頻発してしまった。
慣れの問題だろうと思ってしばらく使ってみたけれど、やっぱりこの点においては前に使っていたChriskingのように、タンパーベース上部の立ち上がりが緩やかなほうが使いやすい、という結論になった。あくまで個人的にだけど。
とはいえ、これはより慎重にタンピングすることで解決するので、今のところは目をつむっている。
総合的には“とても完成度が高い”タンパー
正直言うと、重さや形状を含めた手への馴染みというか、使い心地は前に使っていたChriskingのタンパーが最高だったりする。たまに使ってみると「あー、やっぱこれだよなあ」と思ってしまうほどに、ぼくにとっては使いやすい。
ただし、より安定したエスプレッソを抽出するなら、間違いなくBigStepに軍配が上がる。やはりバスケットサイズぎりぎりのタンパーベースのメリットは大きく、一度使うともう普通のタンパーには戻れないほどにエスプレッソのクオリティが安定するから。
総括すると、スペーサーでハンドルの高さを調整できたり、ベースとハンドルのカラーや形状を自由に選んで購入できたりと、ここまでユーザー目線に立ったタンパーはほかにないと思う。デザイン、機能性、性能、すべてにおいて妥協がなく、プロやハイアマチュアはもちろん、初心者にもオススメできるタンパーなんじゃないかと。ちょっぴり高いけどね。