以前ポストしたように、最近、焙煎にどうも満足いかず、Fortisの改造を決意。
その内容はというと、メッシュプレートを取り外しても冷気が入らないようにモディファイすること。まぁ、そんなに難しくないのでサクっとやってみた。
まずは現状把握から。メッシュプレートありの状態、そして抜いた状態を比較してみる。
見てわかるように、バーナーの炎はメッシュプレートを経由してシリンダーへと伝わる設計になっている。これは豆から出るチャフなどのゴミがバーナーに降りかからないようにするためと、冷気がシリンダーへ入らないようにするための配慮なんだと思う。
メッシュプレートを引き抜くと、すぐ上にはシリンダー。つまりはバーナーから発せられたカロリーは直接シリンダーへと伝わることになる。これで熱の伝わり方はサンプルロースターと同じになるぞ〜(と期待)。
ただし、見てのとおり筐体下部はシリンダー丸出しになるので、ブロワーを稼働させると冷気(外気)がそのまんまシリンダーへ送られることになる。冷気が入るとロクなことにならないのはサンプルロースターで体験済みなので、この空間をできるだけふさぎたい。
そこで、1ミリ厚のアルミ板を用意。現物合わせで寸法を調整しながら加工、バーナー用に120ミリの穴を開けて(この穴はホールソーを使用)、それ以外は極力ふさいでみた。
それで、できあがったのがコレ。
固定方法は、筐体下部のネジ止めされたナットをストッパーとして利用。つまり、基本は板をナットに乗っけただけ。加えて、板自体をL字に曲げて焙煎機背面の穴から1ヵ所ネジ止め。この穴はメッシュプレートのハンドルがあった部分で、場所的にちょうど良かった。
というお気楽簡単な改造を施し、いざ、テスト焙煎へ。
いざテスト焙煎。火力の調整がちょっとシビアに!?
あくまでテスト段階で、まだまだ火力調整とブロワーのチューニングが必要ながらも、メッシュプレートなしで焙煎した印象はというと……。
・メッシュプレートありと比較して相対的に火力は控えめでいける(逆にいうと、今までどおりの火力だと強すぎる)
・火力調節に対して温度変化のレスポンスが早い
・暖気中はBTよりもETのほうが高くなる
ことがわかった。
直火型のサンプルロースターに慣れているぼくにとっては、やはりメッシュプレートなしのほうが焙煎しやすい。とりわけ火力を変えたときの温度変化のレスポンスの早さは「ああ、そうそうこの感じこの感じ」と思ってしまうほどで、メッシュプレートがいかにカロリーを吸収していたかがうかがえた。
投入温度ほか、いろいろと条件は違うものの、先日までのメッシュプレートありと今回のメッシュプレートなしで『Artisan』のログを単純に比較するとこんな感じ。わかりやすいところで、BTデルタの立ち上がりの違いに注目。
まずは今までどおりのメッシュプレートあり。
6分25秒のドライエンド(DE)から火力を上げて一気に焙煎を進行させるプロファイルなんだけれど、火力を上げても、せいぜいこの程度のBTデルタの立ち上がり。これに対して……
メッシュプレートなしの今回のテスト焙煎では、6分7秒のドライエンドからのBTデルタが全然違う。しかも投入温度はメッシュプレートありよりも5度低い150度にもかかわらず序盤の進行がずいぶん早くて(ともに1バッチ目)、思わず火力をしぼったくらい。
一発目ということもあり、いろいろと予定どおりにはいかなかったものの、なんとか焼き上げたのがこちら。
序盤だけでなく、1ハゼ以降、後半の進行も早くて慌ててしまったけれど、まあまあいい感じのフルシティなブラジルショコラの完成〜。
ついにサンプルロースターに完全に追いついたか!?
翌日、さっそくカフェラテにしてテイスティング(写真はなし)。
ん!?
んん!?
おおおおお!?
メッシュプレートありで焼いていたときに比べると、甘みとコクが全然違う。雲泥の差。
「そうそう、これだよ、これ!!」
ちょっと荒削りな印象はあるものの、これはまさに、ぼくが求めていた系統の味。サンプルロースターで焼いていたときの味にかなり近い。
というわけで、吊しの直火型Fortisで“不味くはないんだけれど、どこかちょっと物足りない……”と感じていたことが、メッシュプレートを取ることであっさり解消。
熱の伝わり方って大事なんだね、と、あらためて感じたのでした。
今後もメッシュプレートなしでいこう。