先週、この記事にポストしたガルテンビのエチオピアを焼いてみたので、簡単に感想を。
まずは生豆から。
前にも書いたけれど、どちらもきれい。欠点豆がほぼなくて、ピックしようと思わないレベル。
香りはというと、ナチュラル特有のあの「ツン」としたにおい。エチオピアのナチュラルによくある柑橘っぽいあの香りね。どちらも同じような感じながら、少しだけデンカラムのほうが強め。
これを両方とも2ハゼ30秒くらいのフルシティまで焙煎してみた。
で、焼き上がりの段階から感じていたことだけど、どちらも甘く良い香りはするものの、いわゆるワイニーなモカ的なキャラクターは控えめ。この時点で「好みとは違う」ことに気づいてしまう……。
コーヒーにはいわゆる柑橘系とベリー系の酸があって、ぼくが求めているのは後者。エチオピアは、以前は後者のベリー系が多かった印象があるのだけど(いわゆるモカフレーバーというやつ)、スペシャルティが普及して「紅茶のような〜」という常套句がもてはやされるようになってからは、ベリー系のエチオピアは絶滅危惧種になっているように思う。
で、このガルテンビのエチオピアも香りからするに前者なのでした。
……と、テイスティングする前から「わかってしまった」ものの、気を取り直してカフェラテにしてみる。
……と、当初はハブタムとデンカラムをそれぞれ飲み比べてレポートするつもり満々だったものの、いざ飲んでみたら両者のキャラクターがとても似ていたので、あえてわけないことにする。
ハブタムもデンカラムも、グラインドした粉から感じる印象は、やはりモカフレーバーが控えめで「これ本当にナチュラル?」と思ってしまうくらいクリアな香り。香りがクリアっても変だけれど、それくらいスッキリとした香り。
メッシュはねらいどおりで一発目からキレイにエスプレッソが落ちた。粘度も上々。
カフェラテの感想はというと……「ああ、これは優等生の味だわ」という(笑)。
つまりは、
- クリアで
- 苦味ばしっていなくて
- 程よい酸を感じて
- かつ甘みがある
という、“最近のトレンドをすべておさえたような味”。まさに優等生。
シダモとかイルガチェフェのウォッシュドに近い印象で、上品な甘みと程よいコク、そしてスッキリ感が心地良い。ハブタムも美味しいけれど、デンカラムはそこに酸味が加わって、よりミルクの甘みが引き立っているように感じる。
客観的に、どちらも昨今のスペシャルティ的なテイストでかなり美味しいとは思うけれど、好みかというとそうではないところが歯がゆいなー(笑)。
続いて写真は撮ってないけど、ドリップでもテイスティング。
こちらはラテよりも甘みが際立つ。超甘い。同時にフルシティらしいほろ苦さもあり、個人的にこのバランスは好み。とくにデンカラムのほうはハブタムに1枚、酸のレイヤーが追加されたような味わいで、爽やかでありつつも、味に奥行きがあって個人的にはハブタムよりも好き。
あと、たまたまかもしれないけどハブタムは、どういうわけかアフターテイストに少ーしだけ藁とまではいかないまでも穀物っぽい雑味が……。冷めてくるとよりわかりやすい。これは焙煎由来というよりは生豆由来な気がする。
まとめると……?
味の根幹は同じ系統で、ナチュラル特有の甘みと程よいコク、そして最近のエチオピアらしいスッキリとした後味という意味では、どちらも非常に似ている。レイヤーが多いからか、どちらかというとデンカラムのほうが味に深みがあって好きだけど、ハブタムも十分に美味しい。
そこでひとつ素朴な疑問が。
ガルテンビの商品は現状4つで、ハブタムとデンカラムのナチュラル、そしてウォッシュドのみ。
ハブタムとデンカラムは飲み比べればわかるけれど、ことナチュラルに限って言うと両者はかなり似ていて、それほど大きな違いがない。もちろん微妙には違うけれどね。
で、これは品質向上に努めるなかで、同じような手法をとっていることから自然と似たキャラクターになってしまうのか、それとも今の市場動向に合わせて意図的に同じような味にしているのか、どっちなんだろう? と。
後者であれば仕方がないとして、もしも前者ならば、もっとキャラクターを変えるアプローチをしても良いんじゃないかなーと思った次第。それこそ片方は柑橘系のさっぱり味、もう片方はベリー系のこってり味、みたいなね。
ぼくはというと後者のベリー系こってり味が大好きなので、やっぱりそういう豆を求めちゃう。
フルシティまで焼いてもベリーなフレーバーが主張しまくるような、そういうエチオピア、どこかにないかな(当たりロットのコチャレナチュラルがまさにそうだった)。もしかすると、そういう豆は全部中国に行ってるのかもしれないけれど。
というわけで、好みのエチオピアの豆を探す旅の終わりはまだまだ遠そう……なのでした。