奥様に買ってきてもらった「Bear Pond Espresso」の豆。このお店にはこの豆しかない。ブレンドの「Flower Child」。
一見、無造作に見えて、じつは計算され尽くされていると感じる紙パッケージ。ぼくはそこにスタンプされていた焙煎日に驚いた。なんと、購入日当日の焙煎。つまり午前中にローストした豆を、午後(といってもお昼過ぎ)に購入した、ということになる。
なかなかないよ、こんなの。というか、実店舗でこんなことしてるお店って初めかもしれない。
このブログでも何度か唱えているように、個人的にエスプレッソは豆の鮮度が命、エイジングなど必要ない(日々の変化も楽しみのひとつ)、と思っている人なので、この時点で良い意味でショックを受ける。
ちなみに、試飲したのは購入日から二日後のこと。
パッケージを開封すると……アレ? チョコレートフレーバーがしない!?
てっきりチョコレートフレーバーが広がるのかと思いきや、コーヒーの香りはそこまで強くなく、むしろ紙のにおいのほうが勝っていた。これは意外。豆を出してみると……これも予想外のロースト。もっと深煎りだと思っていた。というか、ぼくが普段焼いている豆のほうが深煎りなくらい。
豆はやや小粒で、まるで確証は持てないけれど、見た目ではほぼブラジルかなと予想。
幸いメッシュを大外しすることなくラテを淹れるも、エスプレッソの色は豆相応に明るめ。「Bear Pond」のエスプレッソは、どろっとしたダークブラウンだと思っていたので、この時点でいろいろと不安になる。
「お店で飲んだジブラルタルとは違うけれど(ラテだからまぁ当たり前)、同じ豆だから、やっぱり基本はこんな感じだよ」と奥様。
色について聞くと「お店で飲んだときもこんな感じの色だったよ」と、たしかに送ってくれた写真を見る限り、明るめのブラウンだった。
あれ……いろいろと思っていたのと違うなぁ、と、ぼくは少し混乱しながら、ラテを飲んだ。
どこも突出していない感じで美味しい。ちょっとマイルドすぎて面白味に欠ける感もあるけれど、好みの系統の味なのは間違いない。
この味から想像するに、やっぱりベースはブラジル(のブルボン?)と予想。そして、ぼくの記憶では「Flower Child」は単一農園の豆をブレンドしている……とどこかで見た気がする。となると、ブラジルのブレンド……!? え、本当!? もう、ますますわからない。
あらためて、なにがどう違っていたかをまとめると……
- 豆の焙煎度は深めだと思っていたが、実際はそこまで深くない
- ダークブラウンなエスプレッソになると思っていたが、実際はそこまで色が濃くなく豆相応
- 濃厚なチョコレートフレーバーだと思っていたが、実際はチョコレートフレーバーはほぼしない
という。
味はもちろんいいけれど、ぼくが身構えすぎていたのか、予想と全然違っていたところに驚いたというか、混乱してしまった。
そこでちょっと仮説を立ててみた。
「Flower Child」というか、「Bear Pond」の豆は、時期によってブレンド比率やローストレベルが変わる、説。
というのも、前にこのエントリーで書いたように、渋谷の「No.8 BEAR POND」で買った豆が、時期によって味がかなり違っていて、そのときは“焙煎にブレがある”と結論づけたのだけど、仮に生豆の状態によって、ねらってそうしていたのだとしたら「Flower Child」も同様に変化していても不思議じゃないな、と。
多くのロースターは、同じブレンドであれば同じ味を再現することに注力するものだけれど、もしかすると「Bear Pond」はそこには執着せず、あくまでブレンドコンセプトにあった味をそのとき入手できる豆で表現する、くらいのスタンスなのかもしれない。
だとすると、それはそれで面白いと思うけどね。
……とはいえ、ぼくにとっては謎だらけでいまひとつスッキリしないので、今度お店に行って聞いてみるしかないな、これは。