エスプレッソマシンとグラインダーと新鮮な豆がそろったら、あとはエスプレッソを抽出するだけ。
マシンを温めるだとか、基本的なことは説明書に書いてあると思うのでそっちを見てもらうとして、ここでは各ポイントと、何を基準に何を調節すべきかを簡単に説明していこうかと。
おおまかにわけると、エスプレッソを抽出するまでのステップは以下のみっつになる。
- 豆を挽いてフィルターバスケットにつめる
- タンピングする
- 抽出する
それぞれポイントを見ていきましょう。
1:豆を挽いてフィルターバスケットにつめる
ここで大事なのが、何グラムの豆をバスケットにつめたか。要するに重さを量りましょう、と。
フィルターバスケットをセットしたポルタフィルターでも、バスケットのままでもいいけれど、とにかくスケールに乗せて豆の量を正確に測ることが大事。面倒? まぁ、たしかに。でも、慣れるまでの辛抱。
フィルターバスケットがシングルだったら8gだとか、ダブルだったら15gだとか、そのへんは好みだけれど、まずは説明書に書いてある数字を目安に一定の量にすることが大事。
こうして、できるだけ“ブレ”のもとを少なくしていく。
2:タンピングする
ここでも、できるだけ一定の力でタンピングすることが大事。マシンに付属している簡易タンパーでもいいけれど、力加減をコントロールするためには、ちゃんとしたタンパーがいい。
タンプするときの力加減は体重計を使うといった技もあるけれど、そのあたりは感覚でOK。
あと大切なのは、水平に、ていねいにタンプすること。ナナメになっているとコーヒーに均等に水圧がかからなくなるので、抽出が不完全になってしまうし、適当にやってしまうと、これまた抽出が不安定になる。
プロのバリスタは一瞬でやっているようなことでも、最初はていねいにやることが大事。
タンピングのやり方はYouTubeにたくさん良い動画があるのでぜひ。
3:抽出する
抽出ボタンを押して、エスプレッソが垂れ始めてきたタイミングから時間を測り、30cc抽出できるまでの時間を計測する(抽出ボタンを押したタイミングではない点に注意)。ダブルのフィルターバスケットだったら右と左で30ccずつ、計60ccが抽出できるまでの時間を測る。
目安とする時間は、20秒〜25秒程度。
ただし、これは絶対ではないので、慣れてきたら自分でアレンジしてももちろんOK。あくまで20〜25秒程度でシングルだと30cc、ダブルだと60cc抽出するバランスが目安になる、というだけの話。
さて、……ここからは調整の話。
きっと、最初は抽出がものすごく早かったり、遅かったりするケースがほとんどだと思う。じゃあ、そんなときにどうするか? がここからのテーマ。
大事なところから順番に追っていこう。
1:グラインドメッシュを変える
グラインドメッシュ、すなわちグラインダーで挽いたときのコーヒーの粒の大きさを変える。この調整は、エスプレッソの抽出速度への影響がとても大きいので、まず見直すべきパラメータ。目標時間から遠ければ変更量を大きくし、近ければ微調整していくのが基本。
どう調整するかは
抽出が早い場合:メッシュを細くする
抽出が遅い場合:メッシュを粗くする
という具合。このとき、メッシュを変えても粉の量とタンピングの力加減は変えないことも大事。
2:粉の量を変える
グラインダーによっては一段階の調整範囲が決まっていて、微調整が難しいケースが出てくる。そんなときは、バスケットに詰める粉の量を変えよう。
抽出が早い場合:粉の量を増やす
抽出が遅い場合:粉の量を減らす
という調整方法になる。0.5gずつなど、少しずつ試して様子をみることが大事で、量を変えるときはメッシュは変えない。
なお、メッシュ調整よりもエスプレッソの抽出速度への影響は小さい。
グラインドメッシュか量で調整するのが基本
最後に、タンピングで調整……と言いたいところだけれど、個人的にはグラインドメッシュと量のみで調整することをおすすめしたい(現にぼくはそうしている)。
タンピングの強さを変えることでもエスプレッソの抽出速度をコントロールすることはもちろんできるけれど、微調整しづらい。数値で正確な値を知ることが難しいからね。だから、タンピングはだいたい一定にしたうえで、メッシュや量で調整したほうが簡単、というわけ。
こんなときどうする?
簡単なFAQ。
Q:めいっぱいメッシュを細くして、めいっぱい粉を詰めても、まだ抽出が早いです。
A:グラインダーの性能を疑いましょう。もしくは刃の寿命です。
最初はよくても、刃がヘタってしまうとそうなるので、もしなってしまった場合は刃を替えるなりすればOK。新品のグライダーなのに……という場合は、残念ながらグラインダーの細挽き性能が低い可能性大……。
Q:昨日と同じメッシュ、グラム数のはずなのに、抽出速度が変わってしまいました。
A:そういうこともあります。
新鮮な豆ほど、日々の変化が大きくなります。昨日の設定が今日は通用しない、なんてことはよくあります。とくにポンプのパワーが弱い家庭用エスプレッソマシンでは直面しやすく、その場合は再調整が必要になります。
ちなみに家庭用エスプレッソマシンも業務用と同じポンプ圧9barを謳ったものが多いですが、実際は違っていたり、安定して9bar出ていないなど、いろいろあるようです。
Q:同じ豆を新しく買ったのですが、抽出速度がまたもや変わりました。また調整が必要ですか?
A:そんなものです。また調整しましょう。
同じ店で同じ豆を買っても、同じ設定がそのまま使えるとは限りません。焙煎日が違う、焙煎してからの日数が違うなど、厳密には同じ豆ではないからです。ただし、そこまで大きな差はないはずです。
Q:気分転換にと、普段とは違う豆を買ってみました。グラインダーの設定はそのままでも大丈夫ですか?
A:基本的には要調整です。そのままイケたら相当ラッキーです。
大丈夫なこともあるかもしれませんが、基本的には要調整です。とはいえ、まずは今の状態でエスプレッソを抽出してみましょう。グラインダーは豆によって調整しなおす、が基本です。
Q:なぜ同じグラインダーの設定が使えないのですか?
A:コーヒーには柔らかい豆と硬い豆があるからです。
コーヒー豆にはいろいろな硬さの豆があり、同じ設定だと、柔らかい豆ほどメッシュが細くなり、硬い豆ほど粗くなります。そして、お店によってブレンドの配合が違うので、グラインダーの設定を変える必要が出てくる、というわけです。