なんだかんだ、ひと月くらいBIG BANGを使ってきたけれど、結論から言うと、もとのバスケットに戻してしまった(笑)。
戻した理由を含めて、じっくりとBIG BANGの感想を。あ、あくまで個人的な主観に基づいたものなので、そのへんご理解をひとつ。
Positive(良かったところ)
・見た目が美しい
これは見たまんまね。表面の仕上げだけでなく、リッジレスなので、シンプルで美しい。
・リッジレスなのでタンピングしやすい
リッジドよりもタンパーがスッと入っていく気がする(気のせいかもしれないけれど)。
・抽出は(一見)均一に見えて気持ちいい
穴の配置の工夫によるものだけれど、IMSの思惑どおり、バスケット底面全域からほぼ同時に抽出が始まる感じで(むしろ中央が早いかも)、とても良い感じ。
ぼくは抽出速度遅めが好きなんだけれど、抽出速度が早いとバスケット全域からポタポタとエスプレッソが抽出されるいっぽう、抽出速度が遅いと、エスプレッソはバスケット中央に自然と集まり、1本の筋になってくれる。
バスケットの底面はほぼフラットなのに、このへん不思議。
・味は変わる。もっというと、クリアになる
さて、バスケットそのもののビジュアルはOK。抽出時の様子もきれい。さて、味はどうなるか。
これがね、けっこう変わる。ちょっと自分でもびっくりしたくらい。
そりゃメッシュと抽出圧、コーヒーの量を変えたわけだから味も変わって当然なんだけれど、コーヒー感を強くする調整にもかかわらず、エスプレッソの味はクリアになった。
とくに後味。
そして、甘みも際立つようになった、気がする。
カフェラテにすると、スッキリと飲みやすく、かつ甘い、というね。
ここまでが良かった点。ただし、当然ながらいまひとつだった点もあったので、ここからはそのへんを。
Negative(いまひとつと感じたところ)
・クリアさの代償として、コク、奥行きが犠牲に?
味がクリアになったのは良いんだけれど、そのいっぽうで気になったのが、コクが犠牲になっている? そんな印象。
ぼくは中深煎り(2ハゼから30秒くらいの)の豆しか基本使わないんだけれど、そのくらいの豆が持っている、あの独特な甘さ、ほろ苦さ、そしてコクが、なんか薄まっている気がしたわけです。
ちなみにここに書いている感想は、すべてカフェラテにしたときのものね。
・抽出がバスケット中央に集中してしまう
一見すると均一に抽出しているように見えるんだけれど、じつは中央ばかりから抽出されていることが発覚。これは抽出後、バスケットのエスプレッソのオイル付着具合を見ると一目瞭然で、バスケットの外周部分に多く残っているのに対し、中央にはほぼない。
この写真はメッシュ調整中で抽出が遅すぎたときのものだけれど、多かれ少なかれ、こんな感じになる(わかりやすいので例にしてみた)。
つまりバスケット中央ほど抽出速度が早いということなんだけれど、言い替えるとバスケット全体から均一に抽出されていない、ということ。
ここからは推測でしかないけれど、コーヒー感がアップするはずの調整にもかかわらず、逆に味はクリアになり(薄くなったともいえる)、かつコクが軽減された気がしたのは、おもにバスケット中央部からしか抽出されていなかったから……なのかもしれない。
・やっぱり抽出後のカスが気持ち良くとれてくれない
前回も言っていた「VSTよりはましだけれど……」というのはそのとおりなんだけれど、やっぱりポルタフィルターをノックボックスに叩きつけても、なかなか抽出後のカスが取れてくれない。
5回、6回、叩きつけて、ようやくボロボロと崩れたケーキが取れてくれる、という感じ。やっぱり、1発でポコっと取れてほしいじゃん。
あとリッジレスの弊害として、ノックボックスに叩きつけたときに、バスケットが浮いてちょっと気持ち悪かったり。
このあたりが何気にストレスなんだよね……。
……というわけで、BIG BANGバスケット、そのコンセプトはおもしろくて見た目もいいけれど、総合的に考えて“悪くはないけれど、明らかな優位性を感じない”という判断になり、使うのをやめて以前のバスケットに戻した次第。
前のバスケットに戻して最初のショットを落としたときに感じたのは「あー、やっぱりコレだわ(笑)」と。
まあでも良い経験になったのでヨシ。